2日目 in 京都

朝7時前に起きたらなんだか小雨らしき空模様。不吉だ。折角なら、早朝の良く晴れた青空の下を颯爽と(?)出掛けたかったんだけど・・・。そんなことを思いながらもさっさと支度をして、ホテルの1階にあるレストランで軽い朝食。京都駅内のコンビニで一応ビニール傘を買って、本降りに備える。烏丸*1中央口のバスターミナルからバスに乗り、京大へ。受付を済ませてから研究発表会場へ向かうと、間もなく最初の発表者の発表が始まる時間に。中でも、すでにベテランの域に達している発表ぶりの人に感心。自分の発表の番が来たは良かったのだが、やはり時間を気にし過ぎたためかかなり早口になってしまい、聴衆の方々はさぞ聞きづらかったろうと反省。前々から分かってはいたものの、自分にはプレゼン力が決定的に欠けている。とはいえ、自分としては質問は上手く捌けたと思うので、その点だけは良しとしよう。それにしても、どういうワケかこういう場で全く緊張しなくなったのは、いつの頃からなんだろう・・・?

午後に開催される某シンポジウムは聴きたかったのだが、不埒なことに自分の中での優先順位は観光の方が上であったため、断念。残念。でも、無念と言うほどでもない。開き直って完全に「観光モード」。その前に腹ごしらえ。京大出身の某氏に教えていただいたラーメン屋の内の一軒に行くことに。歩いて行くと思ったよりも遠かったが、結構旨かった。安かったので思わずチャーシューメンを注文してしまう。

そこから歩いて銀閣まで。ある見知らぬカップルにお願いされたので、少なくとも外見上は快くシャッターを押してあげる。何かが写り込んでいたとしたら、それは僕の怨念です。さてそんな面白い冗談はさておき、やっぱり銀閣寺って地味な印象があったけど、なんのなんの。小雨が降った後だったこともあり、高台のある立体的な日本庭園には独特の静謐な雰囲気が漂っていた。

そこを出ると哲学の道をゆっくりと南下。やはり哲学徒としては一度は通らねばならぬ道(?)。当然、じっくりと哲学的な思索を巡らせながら歩いた――ということは特にない。でも今回の写真はこれにしよう。哲学の道が終わってしばらく行くと、南禅寺。レンガ造りのひなびた水路閣が良い感じ。

さらに西に進むと、いくつもの豆腐屋が連なる通りに出る。実は、今回の旅(!?)ではどうしても湯豆腐だけは食べておきたかった。しかも、折角だからちょっと豪勢な店で。でもそういう店ってほとんど例外なく、門構えがなんだか入りづらい(っていうか、そもそも門があること自体が入りづらい)。どこへ行こうか行くまいか迷っていた正にそんな時、運命の店を発見。その店の門構えも例外なく入りづらいものだったんだけど、隣に(当然)入り易いおみやげ物屋があり、何気なくそこに入ると、何と奥に湯豆腐屋へと通じる扉(開放済み)が! こうして懸案の湯豆腐屋への潜入が無事成功。でもまあ、別にいかがわしい店に入ろうって訳じゃないんだから堂々と正門(?)を通れば良いじゃないかと言われればその通りではあるんだけど。入るとすぐそこにオープンな座敷が。直接上がり込んで、早速、湯豆腐のセットというか一種のコースを注文。敢えて値段は書かないけど、少なくとも昼食代や、いわんやおやつ代としてはあまりにも高額であることは確か。そして僕にとってこれは、昼食を摂ってから数時間ほど歩いて来たわけだから・・・・・・おやつ、だ。そんな事実に恐れおののきつつ、目の間のガスコンロの上で温まって来た豆腐を掬って食べる。「旨い」というより、「美味い」。なんだこの豊潤な味わいは。

湯豆腐をじっくりと堪能して店を出ると、そのまま平安神宮へ向かう。が、その途中で、傘を忘れたことに気づく。先ほどの湯豆腐屋に置き忘れたのだ。でも、どうせコンビニで買った安物だし、雨も少なくとも本降りにはなりそうにないので、無料提供させていただくことに。結局一度も使わなかったことは忘れよう。平安神宮では夜にコンサートが開かれるとのことで、その当日券を求める客が大勢並んでいた。まさか、もう中に入れないのかと思いきや、普通に入れた。応仁門を潜るとそこには、白砂の布かれた広く荘厳な境内が――広がっているかと思いきや、すでに某屋外夜間コンサートの準備が為されていて、広がっていたのは機材剥き出しのステージと客席用のパイプ椅子。ちょっと幻滅。

次はどこへ行こうかと思案しつつ参道を引き返し、大鳥居を潜る。今回の旅(!?)初めての地下鉄に乗ることに。着いた先は二条城。しかし、すでに開場時間がほんの少しばかり過ぎてしまっており、惜しくも城内には入れず仕舞い。仕方がないので次は京都御苑を目指すことに。そこは樹木の植えられた公園になっていて、白砂利が敷き詰められた長く真っ直ぐに延びる広大な路地には、人がほとんど歩いていない。夕方のちょうど良い時間帯だったこともあり、実に気持ち良い。こんな良い所なのにどうしてみんな来ないのかと不思議に思いながらも、でもそのお陰で良い思いをさせて貰えたので、有り難く思う。突き当たりに、いわゆる蛤御門が見えて来る。その左右に続く長い壁といい、その前の広い路地といい、なんだか平安時代っぽい。

バス停に向かうと、1時間に1本しかないバスがちょうどあと5分で来る時間だった。ラッキー過ぎるにもほどがある。そのバスで市役所前まで行き、やはり本能寺には行っておくことに。しかし、その本能寺への入り口がなかなか見つからない。ぐるぐる廻っていると、大通りに面した商店街の建物と建物の間に、ほっそーい路地があるのを発見。誰も入っていく様子がないので不安だったものの、思い切って通り抜けてみると――本能寺発見。周りを塀に囲まれており、そこだけ外部の喧噪から隔絶されているかのような閑静な雰囲気を醸し出していて、いわば別世界。ちょっと千尋(in『千と千尋の神隠し』)になった気分。が、それと同時に妙な違和感が。そう言えば十うん年前に修学旅行で来た時は、こんな塀なんてなかったような気がする。もっと意外なほどオープンで、通勤中の人たちが当たり前のように本堂の前を横切っていた記憶があるのだ。ちょっとした感慨に浸りつつも敢えて遠回りして、夕暮れ時の高瀬川沿いしばらく歩いてから大通りに戻り、バス停を探す。

すっかりお馴染みになってしまった京都駅前。夕食を摂る前に、汗と疲れとを流すため、そのまま京都タワーの地下にある大浴場へ直行。「大浴場」と言っても、ちょっと広めの銭湯といった感じ。上がると、10分100円のマッサージチェアのお世話に。10分て意外に長いもので、充分に満足してそこを出る。折角京都タワーに行っておきながら、上(展望台)には目もくれずに下(大浴場)にだけ行くところがちょっとした「オレ流」と言えなくもないがもちろんそんなアホなことは言わない。夕食は無難に、某デパート内のレストラン街にあった手打ちうどん屋で定食を。すでに湯豆腐を食べていたため、もう特別「京都らしい」食べ物を求めたいという欲求は無くなっていた。今日はもう疲れたので、早めにホテルに戻って休むことに。でも寝る前に、次の日の「作戦」を練る(シャレか? シャレなのか?)。次の日は、午後2時45分から某ワークショップがあるため、それまでに京大に着いているようなスケジュールを組む必要がある。しかも、行きたくてもまだ行けていない場所をすべて廻れることがベストだ。実際にはなかなか苦しいかもしれないけど上手く行けば最高のスケジュールを思い付く。やるしかない。

<つづく>

*1:知らなきゃ当然「からすまる」って読みますよね? でも「からすま」らしいです。バス内のアナウンスで初めて知った・・・。