『どろろ』

「ファースト・デイ」を利用して鑑賞。「日本映画の歴史が変わる!」だなんて全く思わなかったけど、千円なら、「妖怪退治の末の、父親との対決」というごく典型的なストーリーものの伝奇映画としてはさほど文句もなく。とはいえ、特に他人様にお奨めしたくなるほど満足出来たわけでも無いのが何とも悩ましい。

全体の印象としては、残念ながらこの作品もまた、他の「超大作」邦画同様、スケール感が希薄。どんなに大金をかけようと、ニュージーランドでロケをしようと、CGを駆使しようと、そこはやっぱり「島国根性」ならぬ「島国気質」が出てしまうんだろうか? また、原作漫画は未読だけど、このなかなかハードな(?)設定は恐らくちゃんと原作の流れを汲んでいるんだろうとは察っせられるものの、やっぱりどうも、そこんところの活かし方や詰め方が甘いと言うか何と言うか・・・・・・。ラスト、この映画の一番の見所であるはずの百鬼丸と父親との対決が、それまでの妖怪たちとの対決と比べても一番地味っていうのは、あれはもしかして「わざと」なんだろうか(まあ、相手=父親が一応人間だから、仕方が無いと言えば仕方が無いのかもしれないけど・・・・・・)? 「残り二十四体」と出たように、やっぱり本当のクライマックスは続編に持って来るつもりだったりするのかな(もしそうなら、この映画だけの観客には失礼だけど・・・・・・)? ただいずれにせよ、その父親の心の変化があまりにも唐突過ぎで、そこがまた、この映画の「物語」としての弱さになってしまっている気がする。要するに、映像的にも物語的にも、この種の映画に必須だと思われる何らかのカタストロフィが無いのが最大の欠点か。

ただ、ミスチルのエンディング・テーマはさすがに格好良かった。