『Windows5000』

注意書き:例によって例の如く、無駄に長いです。肝心なネタをバラすようなことはしていないつもりですが、漠然としたものであっても断片的な情報がかなり盛り込まれてしまっていることは否めません。まだ観ていないけど、今後、前情報無しの真っ新な状態で観劇したいと思っておられる方は、どうか注意して下さい。

ヨーロッパ企画の芝居を初生観劇

THEATER/TOPSってよく聞くけど、正直今まで正確な場所を知らなかった。場所を調べてみたら、何度も通ったことのある所(紀伊国屋書店の後ろ斜め向かい)でちょっと意外。こんな所にこんな芝居小屋があるなんて思ってもみなかった。実際、当該のビルの前に立ってからですら、しばらくは見付けられなかったほど。分かりづらい・・・・・・ですよね? でもまあ、最終的には何とか見付かったので、開場時間になるまで近くのドトールで待機。開場時間近くになると客が続々と退店し出したのは、もしかして同じ目的のため?

なかなか良い感じの、正に「芝居小屋」と呼ぶに相応しい広さと雰囲気(実際にはもっとちっちゃい、これって本当に単なる「小屋」なんじゃないかと思うような所で芝居を観たこともあるけど・・・・・・)。その雰囲気に絶対的に一役買っているのが椅子。何たって、いわゆる「劇場」にあるような備え付けのシートじゃなくて、パイプ椅子(前後左右ともぎゅうぎゅう詰めにされながら座布団にじっと体育座りして観たこともあるけど・・・・・・)。――良いですね。芝居を観るには、このくらいの規模や雰囲気が実は一番しっくり来るかも。

で、肝心の芝居の方はと言えば――近未来(っていうか、実は西暦5000年・・・・・・なのか???)の集合住宅内部の様子を、二人の役人がある目的のために、新開発のシステム「Windows5000」(仕組みは不明)を使ってひたすら覗き見ては住人たちの部屋や会話や行動にツッコミを入れまくる、というお話。でも最後はちょっぴり切ない気分になっちゃうかも・・・・・・。舞台効果や演出に関する斬新な実験的要素も満載で、ただひたすらエンターテインメントに徹するこの集団の心意気を改めて直に感じることの出来る、第20回公演を飾るに相応しい(恐らく)記念碑的な作品。

「ウィンドウ」のアイディアはもちろん秀逸だったけど、やはり何と言っても、某ディスカウント・ストアの圧縮陳列もビックリの「圧縮舞台(装置)」が最大の見ものでしょう。未だかつて、これほどまでにみっしりとした舞台装置は見たことがありません。実は最前列のちょっと右寄りに座ってたんだけど、それはもう圧倒的な迫力です。とりわけ、幕が開いた瞬間の衝撃は忘れられません(だからこそ逆に、最後に幕が開いた瞬間も・・・・・・)。ただでさえ今にも倒壊しそうなのに、芝居が始まるとその中で複数の役者さんたちが(ごそごそと)動くもんだから、ヒヤヒヤのし通しでちょっとだけしんどかったのは確か。そんな(内容的&物理的な)舞台設定のため、さすがに『サマータイムマシン・ブルース(SMTB)』のように役者さんたちが所狭しと威勢良く動き回るような場面はなかったものの、代わりに所狭しとごそごそ這い回っていた(!?)し、何より、どこまでも脳天気なヤツらの繰り広げる、ユルーいボケ&ナイスなツッコミが絶妙に絡み合った(飽くまでも)リアルっぽい会話は健在だったので、充分楽しめた。

細かい点にも詳しく触れたいんだけど、やっぱりネタバレが恐いので、以下は(も?)漠然と(=実際に観なきゃ分からないように)コメントして行くに留めます。

STMBで注目度が急激にアップした永野宗典本多力が、ほぼ真ん前で、しかも真正面を向いたまま用をたしちゃったりする(もちろん芝居だけど)ので、隣に座っていた女性なんて、恥ずかしがっているような、でもどこか嬉しがっているような(?)笑い声を挙げていたっけ。僕はといえば、男であれ女であれこういう姿を真正面から見るなんて機会は滅多にないという点では、若干新鮮で興味深く感じた。

僕は実際にはそのすぐ隣の「夫婦」の部屋の真ん前だったため、最初のアレにかなりビビる。迂闊にも全く気が付かなかった・・・・・・。その後、アレがすぐ目の前で繰り広げられるので、何だか照れてしまう。以後、舞台装置の構造の関係もあって、この部屋でのシーンは何だか僕が独り占めしているような錯覚に陥る。ただその代わり、それ以外の部屋は若干見づらいことが多かったわけだけど・・・・・・。同様に、スクリーンに映される映像も、ほとんど真上を見る*1感じになって、ちょっと見づらかった。といってもまあ、ちょっと首が疲れた程度で、さほど支障があったわけではないけど。

いずれにせよ、殊この芝居に関しては、全体を通して、最前列よりもやや後ろの席の方が見易いかも。ただし、特に今回の僕の席の場合、「奥さん」がドライヤーをかける度に良い香りが漂って来るという利点(?)も。また、3人の女性陣の内のもう1人、「アジア」のしゃべり方の可愛らしさに参ってしまいそうになる――いや、正直に白状します、かなり参ってしまいました。他にも参ってしまった男性客はいるはずだ! 正直に白状しなさい! そんな「アジア」をからかうアイツらが許せない!とかなるとちょっとヤバイかもしれないけど、そこら辺はちゃんと弁えてますのでどうかご安心を(って何が?)。

最後、結局ああするつもりであることに変わりはないはずなのに、「区役所員・先輩」はなんでわざわざあんなことやそんなことを? やっぱり、見ている内に彼もちょっとは・・・・・・という気持ちになったんだろうか? 特に、恐らく後ろの方の人はよく見えなかったであろうトイレのある「変化」なんて、ちょっぴり泣けます(?)。

数度にわたる"Just a moment, please..."は、演出上どうしても仕方の無いことだったんだろうけど、やっぱりちょっと、スムースな進行の妨げになってしまっていたかも。この演劇集団の名物(?)「早着替え」&「早移動(錯覚含む)」の頑張りは充分くみ取れはしても、さすがにこの点ばかりは、「編集」という技が使える(純粋な)映像作品には敵わないのか・・・・・・。

――もう何だかまとまりがつかなくなって来てしまったので(初めから?)、取り敢えずこの辺でお開き。

*1:「真上を見上げる」の方が通りが良いとは思うんだけど、「上を見上げる」だと重複になる(by 『ラヂオの時間』の保坂さん)ので。