策士による錯視

「錯視」というと、「ミュラー・リエルの錯視」*1がすぐに思い浮かぶ方が多いだろう。そんな人(自分のことだけど)は、このサイトに展示されている錯視図形の多様さにはちょっと圧倒されるはず。カラフルだし、そこはかとなくアートも入っている。

http://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/

特に面白いのは、「動く錯視」。じっと見ていると、なぜか模様が動いて見える。車酔いを起こし易い方、「てんかん」をお持ちの方などは、どうかお気を付け下さい。しかし、知覚対象も、知覚している主体の側も、どちらも全く動いていないのに酔う(気分が悪くなる)可能性がある現象って――ある意味危険極まりない。

でもこれは、多分、人間の知覚システムがそれだけ、ある一定の目的を果たすことに対しては精緻な仕組みを持っているということの裏返し。システムの精緻さのおかげで、それが逆手に取られた結果こんなに危険かつ楽しい現象を体験出来るのだ。自分の知覚システムはなんて不出来なんだと落ち込んではいけません*2

高速で回転しているタイヤが、逆に回転しているように見えるのは、それこそ文字通りの「動く錯視」か。

*1:こちらを参照。http://humanities.lit.nagoya-u.ac.jp/~illusion/gallery/NVEG/on_off/MullerLyer01.html

*2:「誰も落ち込まねーよ!」という声が聞こえるような気がするのは錯覚(幻聴)か。