現実と虚構の狭間・・・?

夜、車を運転していると、検問に遭遇。

(マ、マズイ・・・)

普段は必ず免許証を持ち歩いているのだが、今日に限ってたまたま持っていなかったのだ。そんな日に限って、免許を取って以来初めて(自分が運転している際の)検問に遭遇するなんて・・・。

「絶対何かの陰謀だ!」と思いたくもなる。それにしても、陰謀っていつも「巻き込まれる」もののような気がする。いつか一度くらい、むしろこっちが陰謀を「企てる」側にまわったりしてみたいものだ。何か巨大な組織みたいなのに入れば良いのだろうか?

――なんていうしょーもないことを考えているヒマなど当然無いほどに、焦っていた。

いっそ強行突破でもしてやろうかしらんなどとけしからんことを考えながらも*1、実際にはスピードを落として、ヒヤヒヤしながら大人しく前の車について走っていた。

「小心者」って、文字通り「心が小さい者」ってことだけど、でも実際には、大胆な行動や発言が出来ないような人がそう呼ばれる。逆にそういう人たちって、それこそ「心の中」では結構大胆なことを考えていたりするものだ。だから、もし「心」がいわゆる「頭の中」(あるいは「脳内」でも可)を意味しているんだとしたら、「小心者」と呼ぶのは不適切なはず(「大心者」か?)。でも、実際には全然不適切なんかじゃない。なぜなら、そもそも「心」というのは単に「頭の中」ないし「脳内」を意味しているわけではないからだ。人の「内面」と「外面」という区別は、実はナンセンス以外の何事でもない。

――なんていう話しをもうちょっと続けられるほどに、検問エリアは長かった(少なくともそう感じた)。いつ止められるかいつ止められるかと緊張していたのだが、どうも止められる様子がない。

(よしっ、このまま過ぎろこのまま過ぎろこのまま・・・)

幸いなことに、結局止められずに無事通過することが出来た。ちょうど今から検問を始めようと準備している最中だったのか、逆に、ちょうど「店じまい」を始めようとしている最中だったのか、あるいはそうでなければ、ある特定の車を狙い撃ちにするつもりだったのか・・・。

いずれにせよ、ラッキーだった。

上手く行けば、このまま・・・このまま、高飛びする時間くらいは稼げるかもしれない。

それにしても、こんなに早く配備が敷かれることになるとは正直予想外だった。恐らく誰かに目撃されてしまっていたのだろう。迂闊だった。でも、あの場合は仕方が無かった、ああするしかなかったのだ・・・。とはいえ、万が一のことを考えておいたのが良かった。その場から立ち去る際には他人の車を使い、それを人目に付かない所に隠してから、近くに止めてあった自分の車に乗り換えたのだった。

――なんて書いたら、ちょっとした叙述トリックもの*2にはなるかもしれないなと思った。ええと、ここで一応解説しておきますと、これの一体どこがどう叙述トリック的かと言えば(弱気・・・)、これを読み始めた人に途中まで、これを書いている人間が検問にビビッている理由を「(単に)免許不携帯のため」だと思わせておいて、でもその実、これを書いている人間が検問にビビッていたのは、自分がある犯罪を犯していて、自分がその時間その場所に居たことが警察の記録に残ることを、あるいは最悪、そこで発覚してしまうことを恐れたからだった、というオチになっているからで・・・。

しかしなんとまあ、余談の多い「日記」ですこと。はい、これはやっぱり基本的には「日記」で、もともとフィクションを書くつもりなんて毛頭ありませんでした。途中からの思い付きです。だから、上の「ラッキーだった」までの状況描写部分は事実です、ノンフィクションです。ややこしくてすんません。ただ、このままではナンですので*3、最後はノンフィクションで締めることにします。

実際のところ、今回の検問はどうも雰囲気的に言って本当に「狙い撃ち」が正解なんじゃないかという気がする。となると、それならそれで、ちょっと怖いかも。比較的近所だったし。「凶悪犯が車で逃走中」なんて物騒な事件がとうとうこんな所にまで・・・?! 凶悪事件なんて、それこそフィクションの世界だけで勘弁して欲しい・・・。

*1:って読みづらいですか。わざとだけど。

*2:倒叙もの」というのもあって紛らわしいのですが、実は「叙述トリックもの」とは別物。「倒叙もの」の方は要するに、読者や視聴者、観客には事件に関する情報を(ほとんど)全て与えておいた上で、探偵役がその真相にどう迫るかを読者や視聴者、観客に楽しませる叙述の手法のこと。たとえば、コロンボや古畑などで使われているのが正にこれ。一方、叙述トリックというのは様々な叙述の手法を駆使して、いわば(作中の犯人役が探偵役をじゃなくて)作者が直接読者らを騙す手法。この手法を使っている作品については、「この作品は叙述トリックを使っている」と言うことが即ネタバレに繋がる場合が多々あるため、割愛させていただきます。そうと知った上で読んでもたいがい騙されるので実際上の問題は無い場合も多々あるのですが(飽くまでも僕自身の場合だけど)、知らずに読んだ時の方がさらに「騙された!」感が増すものと思われます。

*3:ナンなんでしょうか?