『HR』第1巻・第2巻

『HR Vol.1』
『HR DVD 3巻セット(Vol.2~4)』

以前書いたように、前回は第2巻と第3巻をレンタルして観賞したので、今回は第1巻と第2巻。
いやあ、それにしても参りました。一度視出したらどうしても止められなくなってしまいました。徹夜までして2本(合計何時間になるんだ? ドキドキ)を1日で視てしまいました。

今回、「徹夜仕事」と「さよなら、和久井さん」とを先に視てしまうといういささか変則的な順番になってしまったためか、第1巻と第2巻に収録されている数話における鷲尾と和久井との関係の推移がもの凄く気になってしまいました。それだけに、ホントは面白いはずなのに、何だか妙に切なく感じてしまったのが珠にキズ――かと言えば実はそうでもなく、それが逆に「物語」としての深みを味わわせてくれる結果となりました。

彼らだけではありません。この作品は、学校の中、とりわけ、教室・職員室・食堂(+廊下)という極限られた状況の中だけで展開し、しかもそのストーリーのおよそ97%がコメディで出来ていながら、全体としては、どういう具合か、登場人物の一人一人のキャラクターが丹念に描き込まれています。わざわざ僕なんかが今さらここで指摘するまでもありませんが、これこそがまさしく、三谷コメディの真骨頂だと思うのです。映像作品としては、たとえば、『12人の優しい日本人』(映画版)、『王様のレストラン』、『ラヂオの時間』(映画版)などに連なる系列です。『HR』は、そのあまりにも独特な収録・放映方法のためか、あるいは、そのあまりにもハイテンションな役者陣の芝居のためか、なかなかこの系列としては一般に評価されていないような気がしてなりません。

ところでこの『HR』、本放送時に視ていた時は、実は、すんごく面白い回とそうでも無い回とが結構ハッキリしていたような印象を受けたのですが、今回改めてDVDを視ると、一体どの回を「そうでも無い」と感じたのか全く分かりません。どの回も「すんごく面白い」んです。これはどうしたことかと思ったら――DVD版(VHS版もだろうけど)はさすがにある程度の(再)編集が加えられているようですね。第8話「田淵ジョー、現る」に至っては、2回(マスコミ向けと一般向け)演った内の良い所を1本に繋げてあるとか。

制作サイド(特に三谷氏自身)は不本意だろうけど、でもイイんです。少なくともDVD版としては、途轍もなく面白い作品に仕上がっているんですから。