「笑い話」の行方

別に(前回との)ラーメン繋がりってわけじゃないんだけど。

30日付の朝日新聞の「試写室」欄、フジテレビ「う!ウマイんです。」*1の紹介記事中で、「思い出した笑い話」として採り上げられていた話。

「ある商店街に隣り合って、全県一、日本一、世界一うまいという看板のラーメンの人気店があり競争していた。やがて町内一うまいという看板の店ができ、一番繁盛した」

「思い出した」と言うからには、あるいは有名なネタ(?)なのかも知れないが、寡聞にも知らなかった。でもこれ、ちょっと面白いな。

一種の考えオチと言って良いんだろうけど、ただ、置かれる文脈によっては単なる「ちょっとイイ話」に堕してしまう恐れも。そして、この記事の文脈が正にそれだった。料理番組の紹介記事だけあって、こんな枕から始まる。

身土不二という言葉がある。「住んでいる土地のものを食べるのが体によい」といった意味だ。旅の楽しみのひとつは、その土地でとれた新鮮な材料を使った、知られざる食べ物との出あいだ。

ね? すでにイヤな予感がしません?

で、記事は続いて今回のこの番組の内容を軽く紹介した後、あの「笑い話」を「思い出した」として紹介し、最後は(番組の感想として)こう締め括られる。

町内一の隠れた名店を探す楽しみが味わえる。

完全にこの「笑い話」を殺してます。だって、この文脈だとまるで、最後に出来た「町内一うまい」という看板の店が一番繁盛した理由が、(たとえば)「結局はみんな、その土地に根付いた味が一番好きなのだ」ってことになってしまうだろうからです。実は、正に僕自身が最初はそう読んでしまったんですが、でも、それじゃあそもそも笑い話じゃないってことに危ういところで気づきました。

この記事を書いた人はちゃんと「笑い話」として紹介しているわけだから、これが単なる陳腐な「ちょっとイイ話」なんかじゃないってことは理解しているんでしょう。となると、明らかに内容がズレている(どころが、趣旨的にはむしろ「逆」でさえある)ことが分かっていながら、どうしてこの文脈にこの「笑い話」を持って来たのか、ますます理解に苦しみます。単に紹介したかったから無理矢理ねじ込んだってところでしょうか。まあ、気持ちは分からなくもないけど・・・。

とはいえ、この「笑い話」を教えて貰えただけで個人的には有り難いので、いずれにせよ帳消しにしてあげよう――ってアンタ何様?>自分

*1:あまりにも「安直な企画の軽率なタイトル」過ぎて、逆にちょっと(良かれ悪しかれ)感心してしまう。