105円の椅子革命

CO-RE2004-10-27


以前から、座り心地の良いというか、長時間座っていても腰に負担が掛からないような椅子を探していました。まあ、お金さえ出せばいくらでも良い椅子はあるんでしょうが、そんな贅沢品を手に入れるだけの余裕は残念ながらありません。結局、普通のオフィス・チェア(?)を何とか座り易いものに工夫してみることに。

クッションを置く――というのが基本中の基本なんでしょうけど、でも、下に敷いたところで何か格別な効果があるかと言えば、実は特になく。そこで今度は、低反発枕をクッション代わりに置いてみたわけですが、やはりこれも、思ったほどの効果はありませんでした。

そもそも椅子に座る際に生じる問題は、腰が前屈みになってしまうこと――だと個人的には実感しているわけです。クッションを置いてその上に座っていると、次第にそのクッションが前の方にズレて来る。お尻からかかる圧力によって前に押し出されるわけです。それを防ごうと、ほとんど無意識的に腰を前屈みにすることで、お尻からかかる圧力の向きを何とか垂直にしようとする。つまり、クッションを置くことによって逆に、腰を悪い姿勢へと導いてしまっていたのではないか、との知見に達しました。

では、クッションを置かない状態だとどうでしょうか。実はこの場合も、ズボンが椅子の座面の上を徐々に滑って行くことで、お尻が前方にずれてしまうのです。だからそれを防ごうと、やはり腰を前屈みにしてしまう・・・。

クッションをお尻の下に置くのではなく、腰と背もたれとの間に置くのが良い、ということもよく言われます。でも、正直なところ個人的には、どうしてこの方法がよく推奨されるのかが全く理解も実感も出来ないで困っています。そんなことをすると、いや、少なくとも僕自身がやってみる限りは、ますますお尻が前方にズレる一方だからです。結果、やはり腰を前屈みにせざるを得ない・・・。

だから要するに、確かに問題は腰が前屈みになってしまうことなんですが、その大本は、お尻が前方にズレて行ってしまうことから来る無意識的な姿勢制御にあるのだと気づきました。

そう言えば、大抵の椅子の座面は比較的滑り易いものになっているような気がします。滑らないように座面の前方が少し上向きになっている(あるいは、少し盛り上がった形になっている)ものもよく見かけますが、実はあれも大して効果がないどころか、結局は、逆に腰に負担をかけてしまうように思います。人間工学の「に」の字も知りませんが、実際に試してみれば明らかなように、座った状態で両腿を上にあげると、バランスをとろうとしてどうしても上半身を前に倒しがちになるはずです(厚いクッションを下に置いた場合も実はこれと同じで、お尻が沈み込むことで相対的に腿があがってしまうでしょう)。背もたれがよほど後ろに倒れた状態のものであれば、体全体をそれに預けてそちらに重心をかければ良いかもしれません。でも残念ながら、その姿勢は明らかに、机に向かうそれからはほど遠いでしょう。

椅子を扱う多くのメーカーは、椅子の形状にばかり目が行き過ぎるあまり、実は最も肝心であるはずの座面の滑り具合には露ほどの関心も払っていないのではないか――と思いたくもなります。

いずれにせよ、要は滑らなければ良いわけです。そこで思い浮かんだのが、いわゆる「すべり止めネット」。そこで早速、某100円ショップで探してみることに。最初は、一枚の比較的小さな四角いタイプのものを探していたんですが、どうも見当たらないので、ちょっと大き過ぎるとは思ったものの、台所やお風呂場などに敷くマット用の「すべり止めネット」を(105円で)買ってみました。大き過ぎたらハサミで切れば良いだけのこと――そう思っていたんですが、実際にはその必要はありませんでした。むしろ、この折り畳まれた状態であるためにある程度の厚さになっていることが、さらに効果を上げてくれているような感じ。上手く言えないけど。お尻が前方にズレて行かないこと甚だしく(?)、これは想像以上に良いかも。

もし万が一お試しになる場合は、椅子の高さにも気を付けて下さい。脚がちょうど直角に曲がる程度の高さが最適かも。低過ぎて結局は腿があがった状態のまま――なんていう間抜けたことだけには、くれぐれもご注意を。