『古畑任三郎ファイナル』――第3夜「ラスト・ダンス」

「古畑祭り」最終日――やっぱり第2夜は今回のための大いなる前フリだったんですね(色んな意味で)。第1夜にも増して感想が書きづらい!という嬉しい悲鳴をあげております。

途中までは、やっぱり最後は初心に戻って、オーソドックスだけど骨のあるトリック&古畑の謎解きに徹するのかなと、それならそれで大歓迎だなと思っていました。今から思えば、この期に及んでなんとも無邪気な自分がちょっとイタイ気がしないでもありません。でも、かなり遅くなってからではありますが、ようやく真相に気づいた時はやっぱり「そう来なくっちゃ!」と(脳内で)小躍りしました。第1夜の感想でも書きましたが、ミステリィとしては決して斬新とまでは言えないこの種のネタでも、古畑の枠組みでやるからこそ意味があるんです。しつこいようだけど、第2夜が本当に効果的でした――少なくとも個人的には。

ただ、真相が判明した後、そうなると結局犯行は具体的にはどう進められたことになるのか、かなり考え込んでしまいました。出来れば最後の謎解きの場面では会話だけでなく、犯人による回想シーンを入れるなりして整理し直してくれたら有り難かったのにな、というのが唯一の要望。間抜けなことに録画し忘れていたので、再放送を待ってもう一度見返すことにします。

ある時間内に犯行が可能かどうかを今泉に「実験」させるシーンは、第1シリーズ「さよなら、DJ」を彷彿とさせて懐かしかったですね。その意味でも、今回の「ファイナル」中で最も今泉らしかったかも(?)。その今泉が「閉じ込められたのは公衆便所じゃなくて観覧車」っていうのはもちろん、第2シリーズ「赤か、青か」。ついでに、今さらですが、第2夜「フェアな殺人者」での「嘘を付かない犯人」というネタも既視感を感じていた所、ようやく思い出しました。第2シリーズ「笑わない女」。このように今回の「ファイナル」には、これまでの話への言及ないしオマージュが数多く含まれていたのが印象的です。

ところで、最後に古畑が犯人に語った「あなたにとてもよく似た女性」というのはもちろん、記念すべき第1シリーズの第1話の犯人、小石川ちなみ(中森明菜)のことだというのはわざわざ言うまでもありません。これまでに関わって来た数多くの犯人たちの中でも、古畑はこの小石川ちなみのことだけをなぜかずっと気に掛け続けていて、たびたび彼の語る話しの中に登場しています。たとえば、第2シリーズ「動機の鑑定」の時に、事件現場にやって来た古畑は、彼女の結婚式に呼ばれて出席していたとかいう話しを確かしていた・・・・・・ような記憶がうっすらと。そして今回の話の中で、加賀美京子にクラブ(ダンスホール?)に誘われた時に古畑がしていた(けど音が五月蝿くて加賀美には聞こえなかった)話しは、壺のすり替え云々と聞こえたことから推測して、恐らく「動機の鑑定」での事件のことでしょう。そう考えると、今回の話は色々な意味で、何より第1シリーズ第1話へのオマージュといった感が強かったのかな、という気がしますね。

でも――これで本当に本当の最後だと本気で思っている人なんて、この日本に一体どれだけいるんでしょうか。これまで同様、これからも何度でもスペシャル版として復活してくれることを期待しましょう。そう言えば、これほどの人気シリーズなのに(しかもフジテレビなのに!?)映画化の話しを全く聞かないのも不思議な気がします(それとも出たことある?)。いくらフジテレビの人気シリーズとはいえ、テレビ版では出来なかったような、大がかりな舞台で起こる大規模な事件に古畑が挑戦するっていうのもアリなんじゃないでしょうか。本当に本当の「ファイナル」を飾ろうとするならそれくらいしてくれないと、視る側ばかりか作る側だってなんだか諦め(?)がつかないんじゃないかと。

だから、個人的には今回のタイトルに、敢えてダブルミーニングを嗅ぎ取ることはしません。そうではなく、むしろこれは、そう思わせることによるミスリーディングなんだと受け取ることにします。

追記1:ネット上の感想を巡回していて何人かが指摘しているのを見て初めて気が付いたんだけど、今回の「ファイナル」は3作品とも、兄弟・姉妹が関係しているという点で共通していたんですね。

追記2:「ブルガリ三四郎」役を演じていたのは「誉(ほまれ)」某で、その「誉」を演じていたのは小日向文世。で、小日向文世って何かの作品に「誉」という役名で出演してなかったっけ、と視聴中は思い出せないままだったけど、これまたネット上で書いてくれている人がいて無事思い出せました――『オケピ!』でした。それぞれ下の名前が思い出せないので同一人物の設定なのか否かは不確かだけど、そうでないとしても、彼らは「兄弟」という設定なんでしょうかね?

それにしても、一体どれだけリンクさせたら気が済むんでしょうか。上で書いたもの以外にも気づいた(思い出した)ものはたくさんあるけど、もういちいち書いていられません・・・・・・。