『あなたの隣に誰かいる』&『ハコイリムスメ!』の最終回

上記二つのドラマが今週で終わった。

「おいおい、今週最終回だなんて聞いてないよ!」と、かつて栄華を誇っていたっぽいダチョウ倶楽部の真似をついしたくなってしまうほど、個人的には突然のことだった。それこそ「打ち切り」なんて話は聞いてないから、当初から10回の予定だったんだろうけど・・・。(ただ、その前の『笑う犬の太陽』はやっぱり打ち切りだったんですか?――視てなかったので。)

あなたの隣に誰かいる』の方は、2003-10-15に書いた心配が実際のものになってしまった、という感じ。

いろんな伏線が最終的に一本に繋がって行くタイプのストーリーかと思えば、実は、それまで伏線だと思われたものはことごとくミスリード用に過ぎず、そのため次々と処理されて行って、最終的には、ヤツは本当に恐ろしい化け物でしたとさ、ちゃんちゃん――みたいな。

実はやっぱり(狭義の)ホラーでしたって・・・もしかして、「これだけあからさまにホラーっぽい流れになっているってことは、最終的に『意外な真相』に帰着させるための大きな前フリなんだろうな」と視聴者に思わせておいて、どっこいそのままストレートにホラーで締め括ること自体をもって「意外性」を演出しよう、なんていう「気の利いた」戦略のつもりなんだろうか?

だとすると、思わせぶりばかり多くて結局は何の捻りも無かったこと自体が唯一の意外性だったという点では、ある意味、かつての『空から降る一億の星』と同じタイプかも。

リドル・ストーリー的な部分もある(?)のでもしかするとそう簡単にまとめられるものでもないのかもしれないけど、いずれにせよ、個人的には全く受け付けないタイプ・・・。最後に役所広司をあんなチョイ役で出したのは何のつもりなんだろう――とか気にしちゃうと制作サイドの思うツボだろうから、忘れます。

あと、役所広司(のやっていた役の人)が「稲葉です」と言っていたのはリアルタイムでは気が付かなかったけど、実は「松本」(=主人公一家)&「稲葉」でB'z(=主題歌担当)とかいうしょーもないお遊びで締められていたらしい・・・。


ハコイリムスメ!』の方は、2003-11-26に書いた時にも増して、この脚本家がいかに鬼であるかを思い知ることになった。

前回放送分でもうすでに、最終回の予想はつくようになっていたわけだけど、でもだからこそ、「大団円」はあり得ないことがその時点で確定してしまっていたとも言える。

結論だけ言えば、「何て勝手な姉妹だ!」&「この姉妹に(不幸にも)関わった男たちは『いいひと』過ぎるにも程がある!」

健も純平も、結局はそれぞれ花と灯にとってのいわゆる「滑り止め」に過ぎなかったわけで、でもこの愛すべき男たちったら揃いも揃ってこのバカ姉妹の「幸せ」のために自ら進んで身を引いちゃうわけで、じゃあ自分たちの「幸せ」はどうなるんだよって話なわけで、あるいはそれ以前に、自分たちがこのバカ姉妹にそれぞれどれだけの屈辱と恥辱とを味わわされて来たと思っているんだよちょっとは怒れよって思うわけで、特に健に至ってはこの上ない恥辱を味わわされたことにもなるわけで、でもそんな事情は「コメディ・タッチ」と称する展開に軽く流されてしまったわけで、しかもこのバカ姉妹ときたら自分たちの「幸せ」がこの愛すべき男たちによる屈辱と恥辱の徹底的な甘受という尊い犠牲の上に成り立っていることに全く無自覚なように見えるわけで、でも世界は当然このバカ姉妹中心に廻っているわけじゃないわけで、それなのにこの脚本家は最初から最後まで、健と純平を含めた周囲の善良な人たちをこのバカ姉妹ならびにこの一家のためだけに生きているかのように描いていたわけで、そこへ来てこんな結末をいかにも「大団円」風に描こうとしているわけで――要するにこれら全般が許せなかったわけで。

やっぱりこれは、女性の、女性による、女性のためのドラマだったってことか。

実際、公式サイトのBBSには、「みんなが幸せになれて良かったです」みたいな(恐らく女性による)書き込みがあったりするし・・・。

終盤に入るまでは、むしろ、あまりにも不幸なことを経験させられるこの姉妹の味方(?)で、その観点から「この脚本家は鬼だ」と思っていたんだけど、最終的には、健や純平をこの姉妹の「幸せ」のための、それゆえこのドラマ自体の「大団円」(もどき)のための捨てゴマとして使ったことに対しても、「この脚本家は鬼だ」と思うようになった。

だから、このドラマの脚本を担当した中園ミホ氏は二重の意味での鬼だ、というのが僕の結論です。