『茄子 アンダルシアの夏』

「ああ、そういえばアンダルシアってどっかで聞いたことあると思ったら、小学校の音楽の教科書に載ってなかったっけ?」

とか思った方。残念ですが、それは恐らくイタリア(ナポリ)民謡の「サンタルチア」かと思われます。

ちなみに、「アンダルシア」というのは南スペイン八県の総称(「アンダルシア地方」)で、しかもこの地方には自治政府があるらしいです。それはともかく、「アンダルシア」って、やっぱり響きがカッコイイですよね。故郷がこんなカッコイイ名前だったらなあ・・・と、思わず遠い目になってしまいそうに。

さて――。

折角年に一度の年末なので、久々にDVDをレンタルしてみようと思い立つ。で、久々の一本目(?)として、ちょうどレンタルが開始されたばかりのこの作品を観賞。

黒田硫黄の原作は(普段は全くと言って良いほど漫画は読まないにもかかわらず)たまたま読んでいたし、監督が、ジブリゆかりの高坂希太郎氏だし*1、ということで、ホントは映画館で観たかったんだけど・・・やっぱ短いですしね(47分で千円)。で、DVD落ちするまで待ってたわけです。

キャラクターのデザインは、原作の黒田テイストよりもやっぱり宮崎作品テイストの方に傾いているものの、背景を含めた色調なんかは、浦沢直樹作品をアニメ化したものに似てるなあ――つまり、全体としては両者の中間的なテイストだなあと漠然と思っていたんですが、公式サイトの監督紹介を改めて見てみると、あまりにもドンピシャでビックリ・・・。

http://www.nasu-summer.com/

ということで作品の感想としては、いや、良かったと思います。映画化の話しを聞いた時には正直「?」だったんですが、こうして出来上がった作品をいざ観てみると、ホントに素直にスッキリと纏まっていたし、短いなりの爽快感もあるしで、DVDで見る分には満足です。もしかしたら、原作では(確か)ホントに一枚の絵で上手く表現されていた三人の過去のエピソードが、映画ではずるずると引き延ばされてるんじゃないか、などと心配してもいたんですが、杞憂でした。

また、ゴール付近の描写だけちょっぴり原作風味になったのも面白かったですね(なんか、賛否両論あるみたいですが)。エンドロールで、「原画」のところに「黒田硫黄」とあったんですが、ひょっとしてこの部分を担当したんでしょうか?

それに、茄子の塩漬けとワイン、是非やってみたくなりました。

ただ唯一気になったのは、先日もたまたま書いた、「アニメ映画での声の出演における俳優のキャスティング」問題。この作品では、俳優陣として、大泉洋小池栄子筧利夫が声の出演をしているんですが・・・うーん、やっぱり彼(女)らを起用する必然性が良く分かりませんでした。個人的には、これでもっとピッタリした声優さんがあててくれていたら、またちょっと作品の印象が深まっていたかもしれないかなあ、と・・・。

恐らく、「宮崎駿監督の右腕!」という高坂氏の肩書き(?)だけじゃあ、映画のPRとしてはもの足りなかったんだろうなあ・・・。原作者の黒田硫黄氏の名前も、多分、どちらかと言うとマニアック過ぎるだろうし・・・。

いやはや・・・。


<追記>

そうそう、これ、「予告編」がちょっと良いんですよねえ(「特報」もちょっとオモロイけど)。

http://mast-zanuck.com/nasu-ooizumi/yokoku.html

特に印象深いのがナレーション。この声、色んな所で聞いているはずなんだけど、そう言えば「誰」なのか知らない・・・。ご存知の方は、教えて頂けたら幸いです。

*1:ちなみに、ネット上を見てまわった限りでは、これを「ジブリ作品」そのものだと認識している人がまだまだ(?)結構居るようですね。頑張れ「マッドハウス」! そう言えば「ジブリ作品」内でも、たとえば『おもひでぽろぽろ』や『平成狸合戦ぽんぽこ』、さらには『火垂るの墓』さえも、「宮崎駿監督作品」だと認識している人がやっぱり居るようです。特に実害は無いかも知れませんが、一応、宮崎作品と高畑作品の(ごく有名な)見分け方をご紹介させて頂きます。宮崎作品のタイトルには「の」がつきますが、高畑作品のタイトルには「ほ(ぽ)」がつきます。