『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』

ようやく観に行くことが出来た。

「旅の仲間」と「二つの塔」はDVDで観ており、これなら一度は映画館で観てみる価値はあると思ったので、「王の帰還」はDVD化を待たないことにしていたのだった。

実は、車で数十分の某大手スーパーにちょっとしたシネコンが入っていて、そこはなんと毎週水曜日が「男性サービスデー」で男は千円で観ることが出来る、ってことに気づいたのがつい最近。

「女性サービスデー」を設けている映画館は数多くあっても、なぜか「男性サービスデー」というのはほとんど聞かない。しかも(「月初めの1日」とか「毎月第一水曜日」とかじゃなくて)毎週というのだから有り難い。

さあっと気軽に行ってチャッと千円札一枚出して映画を堪能してさあっと帰って来る――映画一本観に行くのもある種の一大イベント(交通費も時間も1800円も掛かるから)だった今までからすれば、個人的にはちょっとした革命のようなものだ。いやホントに。

これを利用しない手はないと、先月のある水曜日に『半落ち』を観た――が、残念ながら個人的には不満だった。実はその時すぐに、不満点をここにツラツラ書き連ねたかったんだけど、いろいろあってすでに期を逸してしまったので、却下。

そして今回の『ロード・オブ・ザ・リング』は、そのシネコンで観た二本目。

「吹き替え版になりますがよろしいですか?」と確認を取られる。正直、一瞬ひるむ。だって、DVDで観た時は字幕にしていたから。でも、この大作を千円で観られるんだから贅沢は言うまいと(もちろん)踏ん切りを付ける。

本編開始前の特報で、『ハウルの動く城』の映像がちょこっと流れる。

不意を突かれたためじっくりとは確認出来なかったんだけど、なんか、紫色(?)のヘンなものが飛んでた。

ただ正直、その映像に限って言えば(絵的にも画的にも)いささか「安っぽい」感じがしたことは否めない。現時点ではあまり決定的な映像は出さないようにしているだけなのかもしれないけど(そうであることを切に祈る)。

とは言っても、さすがに最後にはちょこっと、例の城が動いている様を正面から見たカットが流れた。以前テレビでは、その足元(?)だけのカットが流れはしたけど。

ただそれでも、その直後に流れた(公開間近の)『イノセンス』の特報は比較にならないほど凄まじかった。*1

http://www.innocence-movie.jp/index1.html

この作品もこのシネコンにかかるらしいので、絶対に観ようと思う――水曜日に。

さて「王の帰還」に話を戻せば、心配した通り、最初は確かに吹き替えに対する違和感はあったものの、それはすぐに慣れた。そして全体的な印象は――そりゃあ映像的な迫力はあったさ。千円の元は十分に取ったのでそれはそれで良いとして。だから「元」以上の部分に関して敢えて(消極的な)難を言えば、「旅の仲間」と「二つの塔」のエッセンス以上/以外の、「王の帰還」に特有のポイントがあったとは思えないかな、と。

もちろん、戦闘シーンは「二つの塔」におけるそれよりも規模が大きくなっていたけど、状況的にはおおよそ似たようなものなので、結局「ポイント」としては大して変わらない印象。しかもストーリーは、特に意外な展開を見せるわけでもなく、さすがに王道を行っている*2ため、のめり込めるような「ポイント」には入らなかった。強いて言うなら、「王の帰還」の前半と中盤は、「旅の仲間」、「二つの塔」と、「王の帰還」のラスト(=この物語全体の締め)との間の壮大な「つなぎ」だと思えばしっくり来るかな。

いずれにせよ、初めに断っておいたように、それでもこの圧倒的な迫力の映像だけでも一見の価値はあるので、観て損をするということは恐らくないと思う。極端なことを言えば、前二作を観たことがない人が観たって損はしないはず。あるいは、そういう人が観た方がむしろ、前二作である程度この映像世界に慣れてしまった人よりもはるかに強いインパクトを受ける可能性だってあるかもしれない。

まあ約3時間半、思ったほどのしんどさは感じなかったので、決して悪くは無かった。

*1:一応この作品にもスタジオジブリは「制作協力」しているみたいだけど。

*2:と言うより、この作品の原作自体がこの種の物語の「王道」を敷いたわけだから当然と言えば当然なんだけど