「猫の仇返し」?

まだ「五徳猫」の第1節だけしか読んでないんだけど、その中に猫の恩返しが出て来たのでふと思い出す。

ジブリ作品の『猫の恩返し』を観た感想というかイチャモンとして、「結局、猫は恩返ししてくれてないじゃん!」といった趣旨のことを書いている人が結構いるような気がするんだけど、いくらなんでも「おいおい!」と言わざるを得ない。

確かに、作品自体としてはあまりにもシンプルかつストレートで、どうにも物足りなさを感じずにはいられないかもしれない。そんな作品中、唯一ひねりの効いている(!?)箇所が「そこ」だったのに、そのポイントすら受け取れなかったとあっては目も当てられない。いや、受け取れなかった側が悪いのか、受け取って貰えなかった製作側が悪いのかは別として・・・。

タイトルの「猫の恩返し」が「主人公のハルがある猫を助けたことに対してなされる恩返し」という意味であることは間違いないんだけど、問題は、先のような感想を持った人がその「猫」を取り違えたままでいること。ハルが助けた猫は1匹じゃないことが、あまり伝わっていないのだろう・・・。

要するに、このタイトルは一種スリードの役割を果たしていて、最初、そのタイトルが表しているのは「このこと」だと思わせておいてその実はそうではなく「あのこと」だった、という仕方で一応の「オチ」をつけているというわけ。それなのに、見終わった後でもミスリードされっ放しでいてしまうと、それでさえシンプルかつストレートな話がさらにシンプルかつストレートなものに感じられてしまうに違いない。悲劇だ・・・製作側にとっても、そしてもちろん、観客にとっても。