『タイガー&ドラゴン』

http://www.tbs.co.jp/TandD/index-j.html

宮藤官九郎脚本、長瀬智也岡田准一主演*1の2時間テレビドラマ。借金を取り立てに行った相手(西田)の落語を聴いて感動し、弟子入りして噺を1つ教えて貰うばかりかそれを実際に高座に掛けさせて貰うごとに、その対価として金を払い、その中から借金を返して貰うという(ややこしい)取り決めをした、笑ったことの無い、面白く話すセンスもゼロのヤクザ(長瀬)の物語。

クドカンと長瀬、岡田という組合せから、『池袋ウエストゲートパーク』のマコト(長瀬)と『木更津キャッツアイ』のぶっさん(岡田)の共演として捉えられがちみたいだけど、個人的には、岡田のぶっさんの方は良いとしても、長瀬の方はマコトというよりもむしろ、『ハンドク!!!』*2のバカ一こと狭間一番を彷彿とさせた。実は、『ハンドク!!!』での長瀬の熱演(文字通りの熱い演技!)に同性ながら惚れ惚れしてしまった1人だったりする。

それはそうと今回のドラマ、なかなか面白くて久々のヒットだった。こういうトリッキーな設定やネタを、連ドラでも映画でもなく単発の2時間テレビドラマでやるという試みは、もっとあって良いと思う。クドカン作品にはお馴染みの役者たちは言うに及ばず、やはり西田敏行のさすがの好演が光っていた。ストーリー的にも、細かい伏線の張り方とそのさり気ない回収の仕方は悪くなかったし、オチも上手く決まっていた。それをキッカケに、長瀬演じるヤクザの虎児*3が劇的に更正するってわけではない所も、むしろ潔くて良い。連ドラ化を希望する声も挙がるかもしれないが(っていうか、もうすでに連ドラ化の予定なんでしょうか? 「4月から」との噂もちらほら・・・?)、もし実現してしまった暁には、恐らく虎児の更正(再生?)の物語が1つの縦軸として描かれざるを得ないだろう。でも、この作品に関してはそんな展開は野暮のような気がする。この作品はこれで完結――それで過不足無くちょうど良いと思う(じゃあ連ドラになったら視ないつもりかと言われれば、視ないことはない――っていうか絶対視る)。

ただ1つ不満を言うとすれば・・・せっかく蒼井優を出すならもっと上手く活かして欲しかった!

*1:でも個人的には、長瀬と西田敏行が主演で、岡田は飽くまでも(準主役としての)助演、といった印象だったんだけど・・・。

*2:監督は堤幸彦だけど、脚本は大石静

*3:細かいことだけど、この「A演じるB」という言い方、ここでは「A演じるB」という意味にとってみたけど、「A演じるB」という意味にとっていると思しき記述(だから、Aが役柄名でBが役者名になる)も見たことがある。本来はどっちなんだろう?