『APPLESEED』

http://www.a-seed.jp/index2.html

攻殻機動隊」シリーズと同様、士郎正宗の原作のアニメ映画化。フル3DCGアニメということで、実は個人的には偏見を持っていた。それに、公開前はちょっとばかり話題になったのに公開後はパッタリ話題に上らなくなった――という印象を持ってしまっていた。実際のところはどうだったのか知らないが、単に個人的に、先の偏見によってこの作品に関する情報から遠ざかっていただけという可能性もある。

――偏見は損だとつくづく実感。

廃虚、未来都市、巨大メカ、戦闘シーン――CG作品が扱う最も適した典型的な題材だけに、逆にありきたりで陳腐なものにもなりがちだ。でも本作品は、そんな心配を簡単に凌駕してくれる。ちなみに個人的には、中でも多脚砲台のデザインがお気に入りだったりする。ただやはり、どうしてもまだ、自然物の表現はそれこそ不自然なままだったように思う。人物の動きも、わざわざモーション・キャプチャで取り込んでいるだけあって確かに滑らかでリアルではあるんだけど、でも肝心の当の人物の容貌は飽くまでもコテコテのアニメキャラなわけで、皮肉にもそのせいで、動きが不自然に見えることが多々あるのだ・・・。とはいえ、そんなことは大事の中の小事と割り切って観ることも大事だ(ってどっちなんだ)。

肝心のストーリーはと言えば、いわゆる「難解系」(?)ではないもののちょっと複雑かも。正直、1度観ただけでは展開が追えなかった。その人物がどの組織に属していて、そしてその組織の目的は何でどの組織とどういう点で対立していて、ということや、その人物はこの組織に属しているはずなんだけど実はあの組織とこういう点で繋がりを持っていて、ということが充分に把握し切れなかったのだ。でもそれをしっかり把握していないと、折角のドンデン返し(というより真相の暴露)のインパクトを逃してしまうことに。テーマ的には、実はちょっと漫画版『ナウシカ』(のラスト)と似ていたりするかも。それはともかく、そのストーリーを支え、盛り上げもする、音楽もまた効果的かつ印象的だった。濃密な画面に負けず劣らずの迫力。

映画館で観ていたら、確かに映像と音楽は堪能したかもしれないけどストーリーを追い切れないために、消化不良のまま中途半端な印象しか持てなかったと思う。ということで、実際に映画館で観たけどイマイチ乗り切れなかった人には、是非もう一度、ビデオ版かDVD版でじっくり見直してみることをお勧めしたい。