喫茶店の本分

新宿の某有名喫茶店内で某勉強をしていると、「ただいま混み合ってますのでお勉強はご遠慮下さい」と注意される。ファミレスや喫茶店で同じような注意をされたことがあるという話しは聞いたことがあって、その時は「ふーん、そんな理不尽な店もあるんだなあ」と他人事のように思っていたけど、実際に遭遇したのは初めてだった。納得出来なかったので無視してそのまま続けてやろうかとも思ったけど、気分を害したまま続けていても捗らないので、さっさと立ち去る。

でも――なんで?

こっちはなにもタダで店内のテーブルと椅子を使っているわけじゃなくて、ちゃんと飲み物を注文して高々30分かそこら留まっていただけなのに、なんで注意されなアカンの? しかも、とりわけ今回の場合はもう一杯追加しようと思っていた矢先だったこともあって、余計に腹が立って仕方がない。

「混んでいるから回転率を上げたい」ということなんだろうけど、でもそれは飽くまでも店側の都合であって、それとこれ(客が勉強態勢を布いていること)とは何の関係もないはず。「勉強態勢を布いている客はたいてい長時間居座るから迷惑なんだ」と言われるかもしれないけど、勉強態勢を布いているわけでも何でもなく単にお喋りしていたり、あるいは「お勉強」じゃなくて(小説などの)読書をしていたりする客たちだって、同じように長時間居座ることもあるのでは? それに、「お勉強」をしている客が必ず長時間居座るとも限らないはずで、「勉強態勢を布いている客はたいてい長時間居座る」というのは不当な一般化だし、そうした一般化に基づいた注意もまた不当な注意だと思う。

そもそもどんな喫茶店であれ、客がゆっくりくつろげる空間を提供するっていうのが基本コンセプトであることに変わりはないだろう。そして、客である僕らはそうしたサービスを提供して貰うためにわざわざ喫茶店に行くのだ――それなのに。

いくら「ゆっくり」しに来たと言っても、何もコーヒー一杯で3時間も4時間も居座ろうというわけではないし、はじめから寝に来ているわけですらない。仮にそんなことをして注意されるなら、十分理解できる。その時点で現に何時間も経っていたのなら、素直に「すいません」と言って立ち去るのに吝かではない。客の側にだってそれくらいの了見はある。でも、高々30分程度勉強していることを(それ以後も長時間居座るのだろうとの勝手な判断の下に!)注意されたら、いくら何でもこれは納得できるわけがない。

おそらく、勉強態勢を布いている客に対しては具体的に注意し易いから特にターゲットにしようとするのかもしれない。それに対して、単にお喋りしている客にはさすがに「長時間のお喋りはお止め下さい」などと露骨に言うわけにもいかず、その代わり、店内に流す音楽をもはやBGM(=背景音楽)の域を越えるほどの大音量にすることで、なるたけお喋りの邪魔をしようとする魂胆が見え見え。

・・・・・・一体、この(というより、こうした不当な注意をする)店は何がしたいのだろう?

ファミレスや喫茶店などで同じような注意を受けた他の方々は、どう思っているんでしょうか? 「仕方がない」と納得しているんでしょうか? あるいは、実際にこうした注意をしている側の人たちは、どういう了見の下にやっているんでしょうか? できれば知りたいものです。某弁護士軍団にお伺いを立てたとしたら――たぶん、60から70%くらいの確率でこちらが負けることになりそうではあるけど。