『ローレライ』

フジテレビ製作映画繋がりで、これもだいぶ前(公開直後)に観たんだけど、ついでに・・・・・・。

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敢えて原作を読むのを控えての観賞。「ハリウッドを越えた」、あるいはもうちょっと控えめ(?)に「ハリウッド級」などと喧伝されているこの作品だけど、その点には全く期待していなかった。実際CGは、確かにアニメ作品としてはかなりのクオリティを実現していたと思うけど、さすがに「実写」作品としては難があるような気がした。ただ、これは恐らく技術云々というより単に予算の都合なんだと思う。

全体的な内容としては、「もはや戦後ではな」くなった時代に生まれた人による、「もはや戦後ではな」くなった時代に生まれた人のための映画*1だなといった印象。なんだかちいっとも戦時中といった雰囲気を感じない上に、込められたメッセージ性は明らかに現代の視点からのもの(そのこと自体は別に悪いことではない)だし、何と言ってもパウラの存在および設定があまりにも浮きまくっていた。原作では彼女の背景もさぞや書き込まれているんだろうけど、少なくとも本作品に関して言えば、単にヒロイン役として無理矢理押し込まれただけといった感じ。「ローレライ・システム」がこの仕組みであることの(ストーリー上の)意味合いも薄くなってしまっている。

それならそれで、「パウラと乗組員たちとの、束の間の心の触れ合い」を描くことに重点をおくべきだろう。なのに、これまたちいっともそうなっていない(時間の都合上?)。そのためか、ラスト付近での乗組員たちの感情が唐突に思えてしまうし、プロローグでもキョトンとしてしまう。「潜水艦内という密閉空間で繰り広げられる群像劇」という部分に最も期待してたんだけど、魅力的なキャラクターだけは配置しておきながら充分に活かし切れていないところが実にもどかしかった。

*1:一応戦時中の設定なので、「『もはや戦後ではな』くなった時代に生まれた人」映画とは残念ながら言えない。