往路Part2

「観音橋○○km」という案内板が出てたので、これに沿って行けば良いかと高をくくる。途中、V字に分かれる道に来ると、Vの尖った所に「観音橋○○km」の案内板が。しかも厄介なことに、それが何と裏表に! つまり、右の道からも左の道からもそれぞれ観音橋への案内が見えるわけだ。これが文字通り運命の分かれ道になるとは・・・・・・。

少し下り気味の右の道は川の方に向かっている雰囲気なのに対して、左の道はもう完全に山への上り坂になっていて、とても川の方へ続いているとは思えない。というわけで、右の道を選択。直射日光を避けるため、出来るだけ木陰を選んで歩く。帽子を持ってこなかったためタオルを頭に巻く。外見はもう立派なバックパッカー

それにしても、歩けども歩けども橋に行き着きそうにない。それどころか、次に見つけた案内板にはもう「観音橋」の文字は見当たらず。多分やてもうたんやろなあ、と気づき出す。辺りはホントに「The 田舎」――それはもう、「田舎」と言えば?と訊かれて100人中83人が思い描くだろうような。迷子のメイちゃん(in 『となりのトトロ』)気分を存分に味わう。ただ悲しいことに、仮にネコバスが迎えに来てくれたとしても(っておいおい)、すでに薄汚れた僕の眼には恐らく見えないんだろうけど・・・・・・。

そんなわけでネコバス頼みはしぶしぶ諦めたものの、この期に及んで引き返すわけにも行かず、意地になってそのまま進む。民家はあれど、人っ子一人見当たらない。それもそのはず、まともな農家なら、夏のこの時間帯は昼寝の時間だろうから。ましてや、こんな灼熱の中何kmも歩き続けようなんて酔狂なヤツも他にいるはずもなく。

たまたま別の橋の案内を見つけたので、行ってみる。結構坂道を登ったような気がすると思ったら――

その橋から、さっき通って来た橋をこんなにも見下ろすことに。

また昇る前の地点まで戻り、再び(戻ることなく)前進。舗装道路は続いているものの、どんどん山の中へと入って行く。自然の中に独り取り残された感じも悪くない。っていうかむしろ好き。こうなったら、何か面白そうな所に出るまでとことん進んで行ってやろうという気に。

普通の民家のような休憩所を一軒見つけるも、もちろん他の客は見当たらないし、営業している気配もない。かなり疲れていたが、立ち寄るのは諦めてもう少し進む。短いトンネルを抜けると、河原へ降りる道が。ちょっと楽しそうな予感がして、迷わず降りて行く。山陰の涼しさと清流の冷たさとで、火照り切った体を冷ます。だあれも居ない山の中の川を独り占め。しばらく遊び惚ける。いい加減疲れたのでもと来た道を引き返すことに。ちょっとウンザリ。

のどが乾いていたものの、持っていたペットボトルの中身はすでに空に。ピーンチ! こんな状態でこの炎天下を歩き続けるのは明らかに危険。背に腹は代えられない。先ほどの休憩所に助けを求めることに。外で何か作業していたおばさんに、「何か飲み物はありますか?」と訊いてみる。「売ってないんだけどねえ・・・」と言いながらも、有り難いことに、「お茶とポカリ、どっちがイイ?」迷わず「じゃあ、ポカリの方で」。250mlの細い缶を出してくれる。100円を支払う。プルタブを開けるなり一気に飲み干す。地図を持ってないため迷ってしまった旨を話すと、観光用の地図をくれる。それどころか、空いたペットボトルを持っているかと訊かれて持っていると答えると、親切にもそれに水を入れてくれる。これが後々、本当に文字通り「命の水」となるのだった・・・・・・。

あれ、なんか細々と書いて長くなっちゃってる・・・・・・。
というわけで、またまた疲れたので、予定外だけど――(往路Part3へ!)つづく。