那須正幹『ズッコケ中年三人組』(ポプラ社)

出た時から気になっていたので、やっぱり買っちゃいました(なぜ今になって?)。

一昨年の12月に50巻で完結した「ズッコケ三人組」シリーズ。本作では、それから28年を経て不惑の歳(40歳)を迎えた例の三人組の近況と活躍とが描かれている。これはもう、ズッコケ・ファンなら読まないわけにはいきません――と言いたい所だけど、でもその一方で、ちょっと複雑な思いが過ぎったりしないわけでもなかったり。果たしてあの三人組がどんな「おっさん」になってしまっているのか、知りたいような知りたくないような(実は、『ズッコケ未来報告』は読んでいないのでした・・・・・・)。

ああ、この読中・読後感、なんか懐かしいなあ。安心して身を任せていられる那須氏のストーリー・テリングぶりも健在で、このシリーズから離れてしまって久しかったけど、小学校、中学校、高校とむさぼり読んでいた時のあのワクワク・ドキドキ感がありありと甦って来ました。

確かに、最初は思った通り、結構切ない中年ブルース(!?)が綴られてはいるんだけど、もちろん、そんな暗い話しに終始するような那須氏ではありません。怪盗Xが再び、というか四度*1、現れたからには、黙っている三人組じゃないはず・・・・・・なんだけど、そこはそれ、それぞれ家族や仕事を抱えた身ともなれば、なかなか思うようには動けません。でもそれは、かつて小学生だった彼らだって同じこと。子供には子供なりの制約だってあったはずです。

中年になった三人組は、これまた老人になった怪盗Xを相手に、往年の大活躍を見せてくれるのでしょうか? まあ、もちろん見せてくれるわけですが、では、果たしてその結末やいかに?

八谷良平と山中正太郎、それに奥田三吉は、それぞれの生活を送っている場面ではちゃんとそれなりの中年しているんだけど、三人揃ったらやっぱりハチベエハカセ、モーちゃんになっちゃう(ように感じられちゃう)所なんて、ファンとしては嬉しい限り。同時に、それって単なるファン・サービスとか、三人の中年ぶりが描き切れていないだけだとかいうことでは全くなくて、むしろ「リアル」だったりするんだろうなあと、ある意味感慨深く思ったり。他にも懐かしい名前が続々と出て来て、充分楽しめました。

「あとがき」によれば那須氏、10年後にまた『ズッコケ熟年三人組』を計画しているらしいので、これまた楽しみに待つことにしましょう。でもやっぱり待ちきれないので、それまでの間、シリーズ中でまだ読んでいない作品を少しづつ読んで行くことにしようかな。

*1:前の三回は、『ズッコケ三人組対怪盗X』、『ズッコケ 怪盗Xの再挑戦』、『ズッコケ 怪盗X最後の戦い』