京極夏彦『邪魅の雫 大磯・平塚地域限定特装版 (講談社ノベルス)』(講談社ノベルス)

榎木津の縁談相手が破談の申し入れをして来たことと、その相手の妹が大磯で変死体で見つかったこととの間の関係は? その他にも、大磯や平塚ではいくつもの殺人事件が発生。それらは「連続」なのか「非連続」なのか、それとも――。「雫」によってもたらされる…

原倫太郎/原游 『匂いをかがれる かぐや姫 ~日本昔話 Remix~』(マガジンハウス)

「一寸法師」、「かぐや姫」、「桃太郎」といった誰もが知ってる昔話を、複数の翻訳ソフトにかけて英語に変換、さらにまた日本語に変換してみたら、誰も知らない、読んだことの無い、とてつもなくシュールな世界が広がっていた!本屋で見つけたら、とりあえ…

永井均 『シリーズ・哲学のエッセンス西田幾多郎 とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)』(NHK出版)

正直、西田は読んだことが無かったので、というか、無かったのに、「永井が西田?」と意外に思ってしまっていました(つまり、そもそも意外に思うための基本情報すら持っていなかったのに、ということ)。でも、読み始めてすぐ、全く意外でも何でもなかった…

「成長するティップス先生」

なぜか(個人的には)最近、やたらと"Tips"という表現を目にします。「耳打ち」や「助言」、あるいは「秘訣」といったところでしょうか。中でも、某氏に教えてもらうまで知らなかったんですが、こんなページがあったんですね。「成長するティップス先生」 ht…

地区限定

注文していた京極夏彦『邪魅の雫 (講談社ノベルス)』――の、「大磯・平塚地区限定特装版」がようやく届く。http://shop.kodansha.jp/bc/books/topics/jami/おお、なかなか良い感じではないですか。しかも「講談社ノベルス 京極夏彦全作品解説書」まで付いちゃ…

ようやく・・・・・・

以前、『ゲド戦記』って文庫版どころかソフトカバー版さえ無いんだと知って嘆いておいたおかげで(じゃないと思うぞ)、ようやくソフトカバー版が出ましたね(とりあえず三巻まで)。これを機会に買い揃えちゃおうかどうか、考え中。

那須正幹『ズッコケ中年三人組』(ポプラ社)

出た時から気になっていたので、やっぱり買っちゃいました(なぜ今になって?)。一昨年の12月に50巻で完結した「ズッコケ三人組」シリーズ。本作では、それから28年を経て不惑の歳(40歳)を迎えた例の三人組の近況と活躍とが描かれている。これはもう、ズ…

待望のダメット本!

待ちに待った本邦初のダメット(の翻訳ではもちろんなく、解説)本がようやく出ます!(来週あたり?)本邦初のデイヴィドソン本が翻訳もの(エヴニン『デイヴィドソン―行為と言語の哲学』、勁草書房)だったのに対して、こちらは純日本製なのがポイント(?…

ジョン・R・サール『マインド―心の哲学』(朝日出版社)

ちょうどその日に出たのを知らずにたまたま立ち寄った書店でたまたま見つける。その時は持ち合わせが無かったため、後日早速入手。いろいろ重宝しそうで有り難い。"Mind: A Brief Introduction (FUNDAMENTALS OF PHILOSOPHY)"の邦訳なんだけど、何が嬉しいっ…

『ダ・ヴィンチ・コード』をめぐる信念と知識

「『ダ・ヴィンチ・コード』の文庫版が出たら買おう」と思っていて、かつ、「『ダ・ヴィンチ・コード』の文庫版が出た」という信念を形成するに至ったので、「『ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)』の文庫版を買う」という行為を結論として遂行しました。…

ツボ

W.G.ライカン『言語哲学―入門から中級まで』を電車の中で読んでいたら、こんな箇所に遭遇。「話し手は自分自身を聞き手とみなしている」というシッファーの見解に対してライカンが提示している反例。 二人の哲学者が、固有名の直接指示説をたたえる宴を催し…

存在論と認識論

『別冊「本」RATIO 01号(ラチオ)』(講談社) 講談社から新創刊された思想系雑誌。 さまざまな記事がある中で、個人的な関心は、戸田山和久氏と伊勢田哲治氏との間でメールを通じて交わされた科学的実在論論争。 かつての「往復書簡」が今や「往復E-メール」…

森博嗣『レタス・フライ (講談社ノベルス)』(講談社ノベルス)

S&Mシリーズ、Vシリーズ、四季4部作と読んで来て、Gシリーズ(別名:ギリシャ文字シリーズ?)の1作目を読み終えた時点で見切りを付けて「追っかけ」を止めてしまったんですが、短編集だけは未だにちょっとだけ気になるので。このタイトル、森氏のことだか…

恩田陸『ネクロポリス 上/ネクロポリス 下』(朝日新聞社)

装丁(含・装画)に惹かれて思わず買ってしまう。さすがは鈴木成一デザイン室!イギリス文化と日本文化が融合した極東の島国、V.ファー。その国のアナザー・ヒルと呼ばれる土地では、「ヒガン」の期間中、死者が実体化して現れる。彼らは『お客さん』と呼ば…

小川洋子『博士の愛した数式』

第一回本屋大賞受賞作が文庫化。最近は文庫と言えども分厚くて、千円を越えるものも多い中、このサイズにこの値段(本体438円+税)は「これぞまさしく文庫!」って感じ。個人的にはなぜか最近こうした典型的な文庫を買って読むことがなかったなあ。さてこの…

徳岡孝夫『横浜・山手の出来事』(双葉文庫)

「第44回日本推理作家協会賞 評論その他の部門賞」を受賞した、「ミステリー・ノンフィクション」。明治26年に横浜の外国人居留地で実際に起きた事件の裁判記録を、著者が丹念に読み込んで再構成した後、自らがイングランドで行った取材の顛末とその「結論」…

徳岡孝夫『横浜・山手の出来事』(双葉文庫)

「第44回日本推理作家協会賞 評論その他の部門賞」を受賞した、「ミステリー・ノンフィクション」。明治26年に横浜の外国人居留地で実際に起きた事件の裁判記録を、著者が丹念に読み込んで再構成した後、自らがイングランドで行った取材の顛末とその「結論」…

ロバート・フォグリン著、野矢茂樹、塩谷賢、村上祐子 訳『理性はどうしたって綱渡りです』(春秋社)

「そりゃやっぱり、どうしたってねぇ」と思わず応答してしまいそうです――思うツボかもしれません。野矢氏つながりで。もう出てるのかな?読んでないから分からないけど、この邦題はちょっと狙い過ぎの感が。原題("Walking the Tightrope of Reason")を直訳…

野矢茂樹『他者の声 実在の声』(産業図書)

著者がこれまでに色々な所に書き散らかした(という言い方は、第三者が使うと失礼になる?)文章をまとめた、論文集というよりエッセイ集。「エッセイ」と言ってもいわゆる「日常雑記」とはちょっと違うんだけど、著者自身はたぶん、「そんなに違わない」と…

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(ちくま新書)

いわゆるクリティカル・シンキング(批判的思考)入門。ちまたでは「クリシン」などという略称が流通しているほどお馴染みの領域らしいけど、個人的にはさほど馴染みはない。他の「クリシン」本がどういった内容なのか知らないため、本書の扱っている内容の…

新刊案内

野矢茂樹氏の新刊です。http://www.san-to.co.jp/まだ出てはいないのかな?ただこれ、想像だけど、完全な書き下ろしというより、これまでに野矢氏自身が書いて来た本や論文などからいくつかの論点に関連する部分を抜き出して整理したものだったり――しないで…

本の感想ってもしかして久しぶり?

鳥飼否宇『昆虫探偵 (光文社文庫) -シロコパk氏の華麗なる推理-』(光文社文庫) 人間界では全く浮かばれなかった昆虫&本格ミステリィ好きの葉古小吉は、「物語の神様」によって(!?)なぜかゴキブリに姿を変えられ、これまたなぜかクマバチの名探偵シロコ…

「読みたい本」メモ

クリスティーン・コースガード『義務とアイデンティティの倫理学―規範性の源泉』(寺田俊郎 他訳、岩波書店) 邦題では副題に追いやられてしまっている"The Source of Normativity"が原題の本の翻訳。これ、コースガードの単著みたいになっているようだけど…

鯨統一郎『新・世界の七不思議 (創元推理文庫)』(創元推理文庫)

『邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)』に続く姉妹編。前作は日本の歴史にまつわる「新(珍?)説」を開陳する作品が主(ブッダとキリストも扱われてたけど)だったのに対して、本作で扱われるのは専ら国外の古代史にまつわる「新・珍説」たち。アトラン…

山本兼一『火天の城』(文藝春秋)

宮大工から取り立てられて織田信長の番匠となった岡部一門の棟梁、又右衛門以言は、息子の又兵衛以俊と共に安土城築城に挑むことに。岡部父子は互いに反発し合いながらも、信長からの妥協のない注文や様々なトラブル、さらには乱派(いわゆるスパイ)による…

『カレーライフ』

竹内真『カレーライフ』(集英社)もしかすると作者は、「カレーライフ」という言葉から逆にこの話を思い付いたんじゃなかろうか。まさにそんな文字通り「カレー人生」を送らんとする主人公の悩みと悩みと決断とを明るく軽快に描いた秀作。亡くなった父の誤解…

こちらも何冊かまとめて・・・

前から読みたかった竹内真『カレーライフ』(集英社)が文庫化(『カレーライフ (集英社文庫)』(集英社文庫))されはしたものの、リサイクル・ショップでハードカバー版を買った方が安いことに気づき、早速購入。山本兼一『火天の城』(文芸春秋)もたまた…

久々の小説読書Part2

Part1からだいぶ時間が経ってしまったけど、何事も無かったかのようにPart2。 雫井脩介『火の粉』(幻冬舎文庫) 裁判官の梶間は、誰もが極刑を信じて疑わないほどの凶悪事件の被告である武内に無罪判決を下す。二年後、梶間の隣家に越して来た武内は次第に…

久々の小説読書Part1

本格ミステリ作家クラブ(編)『紅い悪夢の夏』(講談社文庫)あまりまとまった時間が無くても読めるように、短編集かアンソロジーを買おうと思って本屋に行ったら目に付いたので。有栖川有栖、太田忠司、加納朋子、北森鴻、柄刀一、三雲岳斗らの短編と、小…

祝!ズッコケ三人組シリーズ完結

http://www.poplar.co.jp/zukkoke/index.htmlつい先日、とうとう第50巻目の『ズッコケ三人組の卒業式』をもって完結を迎えたこのシリーズ。思えば小学生のころ、『こちらズッコケ探偵事務所』を買ってもらって読んだのをキッカケに、ハマリまくったものだっ…