哲学

永井均 『シリーズ・哲学のエッセンス西田幾多郎 とは何か (シリーズ・哲学のエッセンス)』(NHK出版)

正直、西田は読んだことが無かったので、というか、無かったのに、「永井が西田?」と意外に思ってしまっていました(つまり、そもそも意外に思うための基本情報すら持っていなかったのに、ということ)。でも、読み始めてすぐ、全く意外でも何でもなかった…

待望のダメット本!

待ちに待った本邦初のダメット(の翻訳ではもちろんなく、解説)本がようやく出ます!(来週あたり?)本邦初のデイヴィドソン本が翻訳もの(エヴニン『デイヴィドソン―行為と言語の哲学』、勁草書房)だったのに対して、こちらは純日本製なのがポイント(?…

ジョン・R・サール『マインド―心の哲学』(朝日出版社)

ちょうどその日に出たのを知らずにたまたま立ち寄った書店でたまたま見つける。その時は持ち合わせが無かったため、後日早速入手。いろいろ重宝しそうで有り難い。"Mind: A Brief Introduction (FUNDAMENTALS OF PHILOSOPHY)"の邦訳なんだけど、何が嬉しいっ…

『ダ・ヴィンチ・コード』をめぐる信念と知識

「『ダ・ヴィンチ・コード』の文庫版が出たら買おう」と思っていて、かつ、「『ダ・ヴィンチ・コード』の文庫版が出た」という信念を形成するに至ったので、「『ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)』の文庫版を買う」という行為を結論として遂行しました。…

日曜日

某研究会に参加。微妙に(?)遅刻。発表が3本。以下、それぞれの発表を聞いて考えたことを少しづつ。* * * 1道徳的事実が心-独立的だという時の「心-独立的」には、二通りの意味が考えられそうだ。道徳的事実というのは、たとえば一番分かり易い典型的…

金曜日

某研究会に参加。最初は行くつもりはなかったんだけど、会場のカギの管理をする人が急用で行けなくなったため、急遽代理で出向くことに。開始予定時刻になっても人がほとんど来やしない。30分過ぎた頃になってようやく集まる。発表は個人的にも関心のあるテ…

ツボ

W.G.ライカン『言語哲学―入門から中級まで』を電車の中で読んでいたら、こんな箇所に遭遇。「話し手は自分自身を聞き手とみなしている」というシッファーの見解に対してライカンが提示している反例。 二人の哲学者が、固有名の直接指示説をたたえる宴を催し…

存在論と認識論

『別冊「本」RATIO 01号(ラチオ)』(講談社) 講談社から新創刊された思想系雑誌。 さまざまな記事がある中で、個人的な関心は、戸田山和久氏と伊勢田哲治氏との間でメールを通じて交わされた科学的実在論論争。 かつての「往復書簡」が今や「往復E-メール」…

訃報:P.F.ストローソン氏

某氏からの情報で知りました。http://www.timesonline.co.uk/article/0,,60-2040505_1,00.html個人的に生死不詳だったんですが、まだご存命だったんですね。*1 2月13日に86歳で亡くなられたとのこと。 ちなみに、Galen Strawsonてやっぱり息子さんだったんで…

マック教授(関東バージョン)/マクダ教授(関西バージョン)

半ば公然の秘密裏に開催されたマック教授(仮名)の講義に出席。写真からは(髭のせいで?)ややごつい印象を受けていたのだが、実際には全くそんな感じではなく、いかにも典型的な英国紳士といった印象で、シルクハットだって似合っちゃいそう(そんな基準…

ロバート・フォグリン著、野矢茂樹、塩谷賢、村上祐子 訳『理性はどうしたって綱渡りです』(春秋社)

「そりゃやっぱり、どうしたってねぇ」と思わず応答してしまいそうです――思うツボかもしれません。野矢氏つながりで。もう出てるのかな?読んでないから分からないけど、この邦題はちょっと狙い過ぎの感が。原題("Walking the Tightrope of Reason")を直訳…

野矢茂樹『他者の声 実在の声』(産業図書)

著者がこれまでに色々な所に書き散らかした(という言い方は、第三者が使うと失礼になる?)文章をまとめた、論文集というよりエッセイ集。「エッセイ」と言ってもいわゆる「日常雑記」とはちょっと違うんだけど、著者自身はたぶん、「そんなに違わない」と…

伊勢田哲治『哲学思考トレーニング』(ちくま新書)

いわゆるクリティカル・シンキング(批判的思考)入門。ちまたでは「クリシン」などという略称が流通しているほどお馴染みの領域らしいけど、個人的にはさほど馴染みはない。他の「クリシン」本がどういった内容なのか知らないため、本書の扱っている内容の…

新刊案内

野矢茂樹氏の新刊です。http://www.san-to.co.jp/まだ出てはいないのかな?ただこれ、想像だけど、完全な書き下ろしというより、これまでに野矢氏自身が書いて来た本や論文などからいくつかの論点に関連する部分を抜き出して整理したものだったり――しないで…

Philosophy on the Web

1999年にドイツのミュンスターで行われたJohn McDowellによるレクチャー&コロキウムの報告がネット上に置いてあるのを発見(PDF形式)。http://wwwphil.uni-muenster.de/veranstaltungen/mvph/mcdowell/mcdowellkolloq.pdfこれ、出版物として流通してもいる…

「読みたい本」メモ

クリスティーン・コースガード『義務とアイデンティティの倫理学―規範性の源泉』(寺田俊郎 他訳、岩波書店) 邦題では副題に追いやられてしまっている"The Source of Normativity"が原題の本の翻訳。これ、コースガードの単著みたいになっているようだけど…

こちらも何冊かまとめて・・・

前から読みたかった竹内真『カレーライフ』(集英社)が文庫化(『カレーライフ (集英社文庫)』(集英社文庫))されはしたものの、リサイクル・ショップでハードカバー版を買った方が安いことに気づき、早速購入。山本兼一『火天の城』(文芸春秋)もたまた…

冨田恭彦『観念論ってなに?―オックスフォードより愛をこめて』(講談社現代新書)

前著『哲学の最前線―ハーバードより愛をこめて』(同)は未読(でも読もうかな)。京都の某大学で教鞭を執る生島教授を主人公としたシリーズもので、しかも一応小説形式。タイトル通り、観念論、とくにバークリの観念論が主題になっていて、3人の登場人物の…

クリプケンシュタイン

飯田隆 『シリーズ・哲学のエッセンス クリプキ -ことばは意味をもてるか-』NHK出版僕がこのシリーズで他に読んだことがあるのは、以前に書いた通り『デイヴィドソン』だけなのだが、その本で扱われていたのはいわば、デイヴィドソンのコミュニケーション論…

「ケータイ通話の禁止」をめぐる議論からはじめる倫理?!

先日、N氏と(今さら?)「電車内での携帯電話の使用(通話)」について話した時のこと。電車やバスの車内で携帯電話を使って話すこと(以下、「ケータイ通話」)はなぜ「迷惑」なのか、が主な論点になりました――電車の真っ直中で(というのはさておき)。N…

「応用倫理学」と「倫理的思考の応用」の違い

アンソニー・ウエストン『ここからはじまる倫理』(野矢茂樹・高村夏輝・法野谷俊哉 訳、春秋社、2004年)原題は“A Practical Companion to Ethics”なので、強いて直訳すれば、『倫理学の実践的手引き』とでもなるでしょうか。あるいは『実践的倫理学への招…

デイヴィドソンの第4論文集

Donald Davidson“Problems of Rationality”, Oxford University Press, 2004.去年デイヴィドソンが亡くなってから初めて出た、第4論文集です。 もともと出ていた2つの論文集を含めて、5つの論文集が企画されていたようなんですが、残念ながら本論文集から…

成田和信『責任と自由』

上と何の脈絡もなく(でもそれこそが、このページのタイトルの「こころ」だったりするわけで・・・)、成田和信氏の『責任と自由』(勁草書房、2004年)を読了。ところで、哲学的な著作には大きく分けて3種類あるような気がする。「知的格闘」、「知的冒険…

森本浩一『デイヴィドソン』

NHK出版から「哲学のエッセンス」というシリーズが出ています。「それぞれの哲学者について専門から少しはずれた立場の執筆者が、自分の問題関心にそくして書く」という趣旨のようです。実は、これまで一冊も読んだことが無かったのですが、今回ばかりはさす…

認識論と存在論

「THE DOG」という、企画というかコンセプトというか会というか、があります。http://www.thedog-club.com/(こっちの方がむしろ見やすいかも。http://www.thedog-clubs.com/)犬の顔をほぼ正面からアップ写しているために鼻が大きく見えるのがまた、愛くる…

"Donald Davidson: The Philosophy-Linguistics Connection 1967-76"

ギルバート・ハーマンがデイヴィドソンについての回顧録的な文章を書いています。http://www.princeton.edu/~harman/Papers/Davidson.html中でもちょっと笑っちゃったのがこの箇所。 He had a water bed in his high floor apartment and he worried about h…

Peacocke官房長官!?

Christopher Peacockeって誰かに(顔の雰囲気が)似てるなあと思ってたんだけど、最近になってようやく思い至りました。福田官房長官です。http://www.nyu.edu/gsas/dept/philo/faculty/peacocke/・・・似てません?ついでに、彼(福田じゃなくてPeacockeの…

愚痴って他力本願

Michael Dummettの近刊本です。"History of Games Played With the Tarot Pack"ええと、間違いではありません。確かにアノ、ダメットです。言語哲学ないし分析哲学者がタロットにハマってたってイイじゃない。彼の書いたタロット本には、共著の"A History of…

"Action in Perception"

Alva Noe*1氏が、近著予定の"Action in Perception"という本のドラフトをネット上になんと完全公開(つまり、一冊分まるごとアップ)してます。*2http://socrates.berkeley.edu/~noe/APch1.pdfなかなか凄い試みです。でも、画面上でこんな分量の文章なんて読…

指示対象と意義

ある人が、「スカイフィッシュ捕まえて食ってみてぇ! やっぱ魚みたいな味すんのかな?」と言ったとする。ここで、「スカイフィッシュ」の指示対象と「ハエ」の指示対象とは同一、つまり「スカイフィッシュ=ハエ」である。その時、果たして、彼はハエを捕ま…