デイヴィドソンの第4論文集

Donald Davidson“Problems of Rationality”, Oxford University Press, 2004.

去年デイヴィドソンが亡くなってから初めて出た、第4論文集です。
もともと出ていた2つの論文集を含めて、5つの論文集が企画されていたようなんですが、残念ながら本論文集からは、デイヴィドソン自身が論文の配列やセクションのタイトルなどの最終調整ないし決定をすることが出来なくなってしまったようです*1

その辺りの事情を、彼の3回目にして最後の結婚相手であるMarcia Cavellが‘Introduction’の中で書いてくれています。しかも彼女は、自身も哲学者であるため、本論文集に収録されている論文1つ1つについての解題までも、夫に代わって書いてます。ちなみに、下記ページで彼女の写真と著書の紹介を見ることが出来ます。

http://www.hup.harvard.edu/catalog/CAVPSY.html

彼女の専門領域は、広い意味での「心理学の哲学」のように見受けられます。そして、デイヴィドソンの今回の論文集には、(広い意味での?)メタ倫理学、あるいはそれこそ道徳心理学的な諸問題をテーマとしているような論文が多く収録されているのですが、中には、恐らくCavellの影響ではないかと思われるテーマを扱った論文が見受けられます(穿ち過ぎ?)。

いずれにせよ、個人的に興味深い論文がいくつかあるので、読むのが楽しみです(苦しみが待っているだろうことはさておき)。

*1:とはいえ、彼は生前すでに第5論文集までの企画を立てていたため、未完に終わるということはなさそうです。