冨田恭彦『観念論ってなに?―オックスフォードより愛をこめて』(講談社現代新書)

前著『哲学の最前線―ハーバードより愛をこめて』(同)は未読(でも読もうかな)。京都の某大学で教鞭を執る生島教授を主人公としたシリーズもので、しかも一応小説形式。タイトル通り、観念論、とくにバークリの観念論が主題になっていて、3人の登場人物の…

哲学ジョーク?

ジョージ・ハラ(対馬 妙 訳)『悩み多き哲学者の災難』ハヤカワ文庫まだほんの出だしの方しか読んでないけど、この本のストーリー中に採り上げられていた哲学ジョーク。まずは、ウ(ヴ)ィトゲンシュタインが立ち聞きしたフランス人の政治家の話として紹介…

陽のあたる坂道美学

知らない人は知らないけど知っている人は知っている、タモリの新刊です。タモリ『タモリのTOKYO坂道美学入門』講談社こういうこだわりは好きだし、もともと街歩きが好きなので、ちょっと見てみたいと思って近所の本屋に行くも、見当たらず。タモリ自身あまり…

『蒼穹の昴』文庫化!

以前、どうしてまだこの作品が文庫化されていないのか、待ち切れん!といった旨のことを書いたことがありましたが、ようやく出ましたね。『蒼穹の昴(1)』・『蒼穹の昴(2)』・『蒼穹の昴(3)』・『蒼穹の昴(4)』 いずれも、浅田次郎 作/講談社文庫。…

期待は壊れたね・・・。

『Φは壊れたね』読了。ちょっとした中編密室ネタ(?)を、意味ありげなクールなケレン味でもって理系学園モノに仕上げるというお馴染みのスタイルを維持しながら(このタイプの作品を書き慣れ過ぎた著者ゆえに)ほとんど惰性で書けてしまった、単なる場繋ぎ…

「ね」って言われても・・・

森博嗣『Φは壊れたね』(講談社ノベルス)を読書中。商品一般を発売日前に手に入れるという事態に対して「フラゲ」という言葉が(ネット上で)使われていることを知る。どうせ「フライング・ゲット」でも略しているんだろうけど、要するに上記本をフラゲする…

クリプケンシュタイン

飯田隆 『シリーズ・哲学のエッセンス クリプキ -ことばは意味をもてるか-』NHK出版僕がこのシリーズで他に読んだことがあるのは、以前に書いた通り『デイヴィドソン』だけなのだが、その本で扱われていたのはいわば、デイヴィドソンのコミュニケーション論…

京極本新刊

京極夏彦『百器徒然袋 風』(講談社ノベルス)を入手。「薔薇十字探偵」シリーズの中編が3編収録。ということはもちろん、榎木津が大活躍(!?)するわけだけど、今から阿部寛をイメージしながら読んでおいて映画版への免疫をつけておくべきかどうかが非常に…

「応用倫理学」と「倫理的思考の応用」の違い

アンソニー・ウエストン『ここからはじまる倫理』(野矢茂樹・高村夏輝・法野谷俊哉 訳、春秋社、2004年)原題は“A Practical Companion to Ethics”なので、強いて直訳すれば、『倫理学の実践的手引き』とでもなるでしょうか。あるいは『実践的倫理学への招…

デイヴィドソンの第4論文集

Donald Davidson“Problems of Rationality”, Oxford University Press, 2004.去年デイヴィドソンが亡くなってから初めて出た、第4論文集です。 もともと出ていた2つの論文集を含めて、5つの論文集が企画されていたようなんですが、残念ながら本論文集から…

成田和信『責任と自由』

上と何の脈絡もなく(でもそれこそが、このページのタイトルの「こころ」だったりするわけで・・・)、成田和信氏の『責任と自由』(勁草書房、2004年)を読了。ところで、哲学的な著作には大きく分けて3種類あるような気がする。「知的格闘」、「知的冒険…

森本浩一『デイヴィドソン』

NHK出版から「哲学のエッセンス」というシリーズが出ています。「それぞれの哲学者について専門から少しはずれた立場の執筆者が、自分の問題関心にそくして書く」という趣旨のようです。実は、これまで一冊も読んだことが無かったのですが、今回ばかりはさす…

Peacocke官房長官!?

Christopher Peacockeって誰かに(顔の雰囲気が)似てるなあと思ってたんだけど、最近になってようやく思い至りました。福田官房長官です。http://www.nyu.edu/gsas/dept/philo/faculty/peacocke/・・・似てません?ついでに、彼(福田じゃなくてPeacockeの…

求ム!『蒼穹の昴』文庫化!!

唐突ではありますが、要するにタイトル通りです。浅田次郎作品は、特に長編か連作ものが好きです――とか言っておいて、でもまだ『蒼穹の昴〈上〉、〈下〉』を読んでないと言ったら、「ふん」と鼻で笑われそうでコワイんですけど。でも仕方がない、実際読んで…

White Autumn

森博嗣 『四季 秋』を読了。前作『四季 夏』までは、『すべてがFになる』の前史および序章だったのに対して、今作は、その事件から4年後、そして7年目の話。いやー、とうとうここまで明示的に描かれちゃいましたか。全然気づいていなかった幸運な人たちは(…

森博嗣『四季 夏』

読了。いやあ、今回はトリック云々じゃなかったけど、なかなか衝撃的な展開でした。予想通り、『すべてがFになる』で語られるアノ事件の背景と顛末が読めました。S&MシリーズとVシリーズを読んだことが無い人でももちろん、ストーリーが分からないことはない…

翻訳の対価

先日、ブラックバーンの著書の翻訳が出版された旨を紹介した。その際僕は、その邦題のセンスの無さを嘆いていた。イヤな予感がしていたのだが、その予感はやっぱり的中していた。某書店で発見してペラペラと立ち読みしていると、文章が全く頭に入って来ない…

子供は分かってくれない・・・

実は僕は、この本が妙に嫌いである。『ライ麦畑でつかまえて』と十把(二把?)一絡げにして、嫌いである。「ああ、『反吐が出そう』ってこういうことなのか」と初めて実感させてくれたことだけは感謝している。だいたいが、大人が書いた「子供目線からの大…

『神様のパズル』

当然のように何の脈絡もないが、以前読んだ機本伸司『神様のパズル』ASIN:4758410038、どうにも印象的な表現があったことを突然思い出す*1。この本のテーマは何と、「宇宙を創り出すことは出来るか?」何でも、「宇宙は元々無から生まれた。そして無なら、そ…

ブラックバーン『ビーイング・グッド:倫理学入門』

[倫理学]というカテゴリーを新たに使った方が良いのだろうか? でも煩雑なので[哲学]で通すことにしよう。倫理学、あるいは少なくともメタ倫理学は、「倫理の哲学」という意味で哲学の一分野なんだ、と強弁したところで怒るような偏狭な人なんて居るだろうか…

極私的「神1号」認定式

前々からずっと気になっていたことがある。科学書の翻訳書で興味を引くタイトルの本を手に取ってみると、訳者の名前が大抵、「林 一」氏になっているのだ。1年の内に、そうした科学書の新刊が出ているのを知ると、とりあえず手に取ってみるのだが、なんと連…