原倫太郎/原游 『匂いをかがれる かぐや姫 ~日本昔話 Remix~』(マガジンハウス)

一寸法師」、「かぐや姫」、「桃太郎」といった誰もが知ってる昔話を、複数の翻訳ソフトにかけて英語に変換、さらにまた日本語に変換してみたら、誰も知らない、読んだことの無い、とてつもなくシュールな世界が広がっていた!

本屋で見つけたら、とりあえず一度立ち読みしてみて下さい。絶対すぐさま恥ずかしくなって本を閉じちゃって、でもやっぱり続きが読みたくなるから速攻でレジに持って行ってしまうはず――そう、もうとにかく吹き出し放題なほど面白過ぎるんです! これだけ薄くてこれだけ立ち読みを阻む本も珍しいです。

『匂いをかがれる かぐや姫』というタイトルの由来はもちろん、「かぐや姫」が、"As soon as it smelled, princess"→「匂いをかがれるとすぐに、プリンセス」と変換・変換されることから。ちなみに、「桃太郎」は「桃タロイモ、「一寸法師」は、これがまた傑作で、「少量法律助言者」

本文からもいくつか紹介したいんだけど、あんまり長いと色々問題でしょうから、各話から一箇所ずつ。その前の状況説明からして意味不明でしょうが、それもまた本文通りなので悪しからず。また、拡大フォント部分も原文のままです。

  • 「少量法律助言者」より。

プリンセスを突然説明して攻撃する2人のオバケに向かって言う、少量法律助言者のセリフ――

「失礼なオバケ、この少量法律助言者がパートナーである、気構えマージン!

どんな効果がある呪文ですか、それ? ちなみに「気構えマージン」って、どことなく、森博嗣が使ってもおかしくなさそうな言葉の組み合わせのような気がします。

  • 「匂いをかがれるとすぐに、プリンセス」より。

ラスト、もうとにかく説明しようもないほどトンデモなくスットンキョーな状況で、匂いをかがれるとすぐに、プリンセスが言うセリフ――

「おじいちゃん、おばあちゃん、忘れないライフタイムこの好意無期限にさようならエネルギッシュ・・・

別れの言葉がなぜか歌詞調で、何より最後の「エネルギッシュ・・・」がダメ押し。「エネルギッシュ」という言葉がこれほど切なくフェードアウトしていくセリフないし歌詞は見たことがありません。思わず、食べていたお菓子を吹き出しました。

タロイモによってピンで留められた後の怪物のチーフのセリフ――。

ちょっと人生に関しては、ヘルプ

もう、これで1分間笑い転げました。こんな命乞い聞いたことありません。史上最も軽薄な命乞いです。実際にこんな命乞いされたら、殺す気がなくても「殺しても良いかな」と思ってしまいそうです。正に、殺意を呼び起こす命乞い

原游氏の挿し絵も本文に負けず劣らずの「味」とシュールさで、本文を引き立てています。