Part2

CO-RE2006-12-26


実は、その宮島口にある「あなごめし うえの」で「あなごめし」を食べるつもりだったのだ。しかし、閉店時間はやっぱり早くて、これからが夕食時だろうと思われる19時。それなのに、僕のお腹は相変わらずキツキツのまま・・・・・・。でも、何としても食べておきたかった。そこで、尾籠な話しで恐縮だけど、とにかく食べた物を(下から)出してみる。それから駅のベンチに座って腹をさすりながらしばらく休むも(トイレもベンチも改札の外にある)、18時半になると(何かを察知して?)、意を決して店内へ。幸いというか何というか、「あなごめし(小)」というのがあったので、迷わずそれを注文。さっそく口に運んでみる。以下、その時の僕の心の声――「言うたかて、あなごやろ? そんなもん高が知れて……うまっ、あなごうまっ! うわっ、なんやこれ、あなごや思うてあなどっとったらあかんなあ、って別にダジャレやないで――あら、気ぃついたらもう無いわ。えっと、誰がもう食えないって?>自分」。いやホント、旨かった、というか、美味かった! 腹のことなんか気にせず、一気に完食。あなごと言ったら、どこかウナギの出来損ない的なイメージがあった(天ぷらはまあ、好きだ)けど、これでもう完全にそんなイメージは覆りました。

実は食べている最中、まだ19時にはなっていなかったのに、店に入って来た客が何組かが、「もう閉店なんです、すいませんねえ」ということで追い返されていた。だから結局、僕がその日の最後の客だったというわけ(先客も何名かいたけど、その内、僕が最後に入って来たものの出て入ったのは最初)。あ、危ない・・・・・・。19時ギリギリまで入店せずにまだ粘って腹をさすっていたら、僕も追い返されていたところだった。そうなっていたら、一体それまで何をやっていたのかと、自分のあまりの惨めさに立ち直れなくなっていたところだった。何はともあれ、これで心置きなく広島市内に戻れるということで、JRに。でも今度は、広島駅まで行かず、その一つ前の横川駅で下車。市電に乗り、「原爆ドーム前」で下車。広島に来たら当然見ておかなきゃいけません。ここもまた、高校の修学旅行以来。19時から近くで懇親会があるところを、参加は20時過ぎるかもしれないと予め連絡してあるため、20時半くらいまでなら良いだろうと。それに、腹ごなしをしてから行かないとそもそも何も飲み食い出来ないだろうし・・・・・・。

ライトアップされた「ドーム」は、また独特の雰囲気。橋を渡って川の反対側からも。後ろに聳える現代的な建物・・・・・・。夜の平和記念公園内を歩く。「原爆の子の像」のぐるりを囲む、折り鶴たちの群れ。でもそれは、今やガラスケースの中に。「雨よけ」としても機能してはいるのだろうが、恐らく、以前にあった放火事件をキッカケにしたものなのだろう(実際、そうだとのこと)。その後、代わりの折り鶴を贈るプロジェクトが呼びかけられた結果、その年の終戦記念日にはなんと何十万羽もの折り鶴が贈られた――といったニュースは何となく覚えてはいたが、そのプロジェクトが2ちゃんねる」発だったことは、知らなかったというか忘れていた。そして慰霊碑(これもまた、「過ち」の部分が削られるという損壊被害にあっている)。今後、この国が他の国にこうした慰霊碑を建てさせるようなことにだけはならないよう、願わずにはいられない。そこから平和記念資料館へと続く道の両側には、たくさんのロウソクが並べられていた(後で知ったところでは、ちょうどその日からだったらしい)。道路を渡った所には、光のモニュメント。とりあえず潜っておく。それにしても、ここへ来るとどうしても神妙な気持ちになってしまう。

再び気分を切り替えて市電に乗り、数個目の某電停で下車。某居酒屋へ。でも案の定、食べ物はもうほとんど入らないため、イカの刺身の「つま」である大根の細切りをむさぼり食ってアスターゼ摂取に励む。22時近くにその場はお開きになり、2次会に行く人とホテルに帰る人とが分かれる。僕はもちろん、ホテルに帰る人――。幸い、電停2、3個分しか離れていなかったので、すぐ到着(ちなみに、これでちょうど一日乗車券で「得」が出たカッコウに)。このホテルはまだ出来たばかりのようで、新しく、快適。風呂に入ってからベッドに寝転がりながら、翌朝の作戦を練る。10時から広島駅前の某ホテルにて研究会。それまで市内でのんびりしているのは勿体ない(!?)、何とかどこか別の所を見物したい、と思っていたので、時間的に余裕があったら行ってみようと漠然と思っていた錦帯橋に行ってみることに。でもそこは、宮島のもっと先。10時ちょっと前までに広島駅に戻って来られるかは微妙な距離。でも、ホテルの朝食は(7時からの所が多いようだけど)幸い6時半からだから、7時前にホテルを出て、しかもそれに加えてある作戦を決行すれば、何とか間に合うかも――。

翌朝、セットしていた目覚まし時計よりも若干早めに目覚める。6時半少し過ぎにはもう、バイキング形式の朝食にありついていた。自宅ではどうも朝は胃が働かなくて困るのに、出先だとどうしてこう、朝から食欲旺盛なのか。結局、予定通り7時前にはホテルを出て市電に乗り、早朝の原爆ドームを窓から眺めつつ、今度は西広島駅へ。そこからはJRに乗り、岩国駅で下車。バスで錦帯橋に向かう。山口ナンバーの車を見て、遅ればせながら、ここってもう山口県なんだと気づく。300円払って橋を渡る。江戸時代初期に建造された木造のアーチ橋で、台風被害などのため何度も架け替えが行われているようだが、最近もまた「平成の架け替え」が終わったばかりらしい。あんまりゆっくりもしていられない。再びバスに乗り、向かうは新岩国駅――実は、帰りは山陽新幹線を使うことにしたのだった(要するにこれが、「ある作戦」)。たった一駅分を新幹線で移動なんて暴挙に出たのはもちろん、そうしないと間に合わないことが確実だったから。そしてそのお陰で、9時40分過ぎくらいには無事、広島駅に到着。「早朝の大移動」のせいで若干お腹が寂しくなっていたので、売店で買ったおにぎりを与えて宥めすかす。10時ちょっと前には何気ない顔で(?)会場に到着。

昼休憩には、10人ほどで近くの某広島つけ麺屋(ちなみにこの店、東京駅地下名店街に出店していたことを後で知る――なぁんだ)に押し掛ける。これだけはまだ食していなかったため、ラッキー。つけだれの辛さが選べるようになっていたけど、とりあえず弱気の「2」で・・・・・・。麺には茹でキャベツとキュウリとネギがたっぷり乗っていて、(あんまり好きな言葉じゃないけど)ヘルシーな感じ。これらで薄まるため、辛さレベルはもうちょっと高くても良かったかな。最後、言えばスープ割りも出来たんだろうか? ちなみに、同席した京都、広島、北海道の方々は、この「制度」をご存知無かったようだ。もしかしたらこれって、そば湯がお馴染みの関東に独特だったりする? 研究会が終わるとすぐリムジンバスに乗り込み、空港へ。幸いにも、今回は何のトラブルも無く空港に到着出来て、ホッとする。万が一のためにと早めに行動していたため、飛行機の時間まではまだだいぶ余裕がある。空港内でゆっくりお土産を買い、その後、某レストランで「広島三昧御前」なるものを食す。ミニあなごめし牡蠣フライ数個に小いわしの刺身少々――など。牡蠣フライや刺身はまあ特に悪くはなかったけど、(ミニ)あなごめしはアカンかった・・・・・・。もしこれがあなごめし初体験だったとしたら、「まあ、せいぜいこんなもんだろうな」とそっけない感想だけで終わって、もう二度と食べようと思うこともなかっただろう。でも実際には、「うえの」での体験は鮮烈で、またいつか美味いあなごめしを食してみたいと思っている。

<やっと終わり>