『ぼくは怖くない』

映画のチケットを買う際、券売機を置いてある所もあるけど、やはり未だに、窓口のお姉さんに直接、観たい映画のタイトルを言う必要がある所が多いですよね。でもそれって、タイトルによっては結構気恥ずかしかったりすることがあります。この映画も、どちらかと言えばその内の一つ。だって、見ず知らずのお姉さんにいきなり、

ぼくは怖くない

とか言わなきゃならないんですよ? こっ恥ずかしいったらありゃしない。

『I LOVE YOU』なんて(ベタベタの)タイトルの映画があったりして、万が一観たくなった場合はどうしたら良いのでしょうか(絶対観たくならないだろうけど)。『チケットはいらない』なんてタイトルの映画があったら(実際、映画のタイトルとして悪くないような気がする・・・)、ちょっと面白いかも。『金を出せ!』とかいう物騒なタイトルは、むしろ窓口のお姉さんの方が怖がりそうでちょっと気の毒かも。悪ノリする客も実際にいそうだし(いないか)。

――ともかく。

毎月1日はたいていどこの映画館もサービスデーのようで、たまたま出掛けついでにテアトルタイムズスクエアへ。

http://www.albatros-film.com/movie/bokukowa/index3.html

この映画、ポスター(上のサイトのトップページとほぼ同じもの)を見る限りでは「ちょっと切ないけど基本的にはほのぼのした良い映画」風に思えるかもしれません。ところがドッコイ、実際に観てみると、なかなかおぞましいサスペンスが展開されて衝撃的な内容だったりするんです、これが。だって、この映画を特徴づけると思われるキーワードを強いて挙げてみると・・・

誘拐監禁裏切り疑心銃撃、etc.

・・・ほらね。ポスターからは絶対に想像がつかないでしょ?

上記公式サイト内の"Review"には様々な著名人たちのコメントが載っているけど、どういうわけか、どれもこれもがこの映画の実際の内容に比べてかなりぬるい。中には、本当に同じ作品を見たのかと心底疑問に思ってしまうようなコメントも。

もちろん、黄金に輝く広大な麦畑の映像や、主人公の少年のひたむきさや葛藤などが印象的なのは確かなんですが、だからと言って親子で仲良く「クレヨンしんちゃん」の映画でも観に行くような気分でいると、かなり衝撃を受けることになるかも。とはいえ、もちろん「良い映画」であることは間違いありません。必見です――ただし、小さなお子さんや心臓が悪い方以外は。

そう言えば、乙一氏もこの映画を「応援」しているようです。

http://www.geocities.co.jp/Bookend-Yasunari/3259/

さもありなん――といった感じ。

ところでこれ、確かに「ある事件」を扱ってはいますが、少なくとも僕の基準では「ミステリー」ではないですね(知ったこっちゃないだろうけど)。でも、歴としたサスペンスであることに間違いはありません。ラストも、救いがあるのかないのか、実は微妙だったりします。敢えてそういう演出が施されているんですが、ただ恐らく多くの人は、あの後に「救い」を見出すのでしょう。でも、それって実は単なる「希望」に過ぎず、やっぱりあの後・・・・・・かもしれませんよ。そうは考えたくない気持ちも良く分かりますが。(いつものごとく抽象的な書き方になっていますが、仕方がないのでご勘弁。)

それはそうと、今年に入ってこれまでに観た映画は、幸いにもほとんどが「当たり」のような気がする――唯一、『半落ち』を除いては。