『下妻物語』

http://www.shimotsuma-movie.jp/

ファースト・ショー(その日の初回上映)サービスを狙って、出掛けついでに渋谷のシネクイントへ。(と言っても、もうすでに一週間ほど前のことなんだけど。)

・・・が、到着が2分ほど遅れる。

他の回であれば、「上映開始時間」が過ぎてもしばらくはいわゆるCM(他の映画の特報や予告編など)が流れるのでセーフだったかもしれないんだけど、その回(初回)はダイレクトに本編の上映が開始されるようだったので、諦める・・・初回に観るのは。折角来たので、通常料金を払って次の回を観ることに。

で、感想は――確かに面白かったんだけど、かと言ってそれほど手放しで絶賛出来るほどでも無かったような気がするのがちょっと(いや、正直かなり)残念。

前半、かなりの長さにわたって(深田恭子 as 桃子の)ナレーションで進行するのにはやや違和感が。というよりむしろ、「あれ、このままどこまで行くんだろう・・・?」っていう不安感の方が大きかったかも。そこで展開される「桃子の生い立ち」に関わるエピソードは小ネタ満載で面白かっただけに、その違和感と不安感というマイナス要因が痛かった。でも逆に言えば、それを承知の上で観たら――つまり、2回目以降は――純粋に楽しめるかも知れない、という可能性はあるわけで・・・。DVDレンタルが開始されるまで待ちますか。(いや、さすがにもう一度映画館に出向いてまで観ようとは・・・。)

それと、映像的に綺麗なシーンと、(恐らくそれと相対的にだとは思うけど)平凡であまり力の無い画面に見えるシーンとのギャップが激しい気がしてしまったのも、心理的なマイナス・ポイント。

キャストに関して言えば、深田恭子は言うに及ばず、土屋アンナも悪く無かったと思う。(ロリータ事情もヤンキー事情もよく、というか全く知らないんだけど。)土屋のセリフ廻しでやや不自然に聞こえるところがあったとしても、それは単に演技力の問題(だけ)というより、そのセリフをヤンキー口調を崩さずに喋ること自体がそもそも不自然だから、という要因だって確実に絡んでいるはず。

それに対して、小池栄子のヤンキー(いわゆるレディースのヘッド・・・って言うのかな?)役は迫力不足だったような・・・。芝居の力量不足のせいなのか、そもそもキャラが(芝居ではカバーし切れないほど)根本的に違うからなのかは、分からないけど。さらには阿部サダヲの「一角獣の龍二」も、一見した印象の割には実はあまり合っていない・・・というか、小池の場合とは逆に、それこそ(本来の意味での)役不足だったような気がする。つまり、阿部サダヲが演じるにはこのキャラは(髪型以外は)あまりにも真っ当過ぎる、ってこと。

前半はシュールな小ネタが詰まっていた印象であるのに対して、後半に行くに連れて、やはり(原作は読んでいないので、飽くまでも)映画としての流れのためか、比較的真っ当な展開になってしまった印象は否めない。だからこそ余計、あの衝撃の(!?)事故のシーンも、このシーン単独では映像的にかなり面白い出来であるにもかかわらず、いかんせん、その前後の展開の「真っ当さ」の印象を薄めるために無理矢理持って来られたような気がしてしまってならないのだ――。(でも、再び逆に言えば、その前後の展開を「比較的真っ当」だと思えてしまうこと自体が、この作品が全体としていかにシュールであるかを物語っているとも・・・。)

以上、敢えてネガティブなポイントばかりを列挙して来たけど、総合的な印象としては決して悪くはない。「一見相反する、それこそ両極端とも言える『キャラ』をした女の子同士の奇妙な友情物語」という(恐らく)テーマ設定自体は、もちろん良かった。そもそも、個人的にはこうした奇天烈な(!?)設定の作品でないとわざわざ映画館で観ようとは思わないので。それに、深田恭子が啖呵を切ってるシーンもなかなかの見ものだった。

上でも書いたように、DVD版で見返したらもっと純粋に楽しめる可能性は大だという気はする。

最後に、余談だけど、本編上映前に(映画版)『笑の大学』の予告編を観ることが出来たのはラッキーだった。初回上映に間に合っていたら見逃すところだっただけに、不幸中の幸いと言うかケガの功名と言うか・・・。