『スチームボーイ STEAMBOY』

CO-RE2004-07-23


http://www.steamboy.net/top.shtml

折角なので(?)、ヴァージンシネマズ六本木ヒルズまで観に行く。いざ、ヒートアイランド東京へ。(と言っても電車1本なんだけど・・・。)

こんな大げさな「光の廊下」を通り抜けると・・・

http://www.roppongihills.com/jp/facilities/vc6/

・・・売店のあるフロアへ。そしてそこでコーラとポップコーンのセットを買ったのだが――ポップコーン、デカっ!

KFCで言えば「バーレル」ってやつ(?)みたいにデカイ容器に、今にも溢れんばかりの勢いで詰まってる。見ただけでゲンナリ。確かに腹は減っていたけど、だからって、何が悲しくて今時のこの飽食ニッポンで、トウモロコシなんかで空腹感を満たさなくちゃいけないのか

それはそうと、個人的なポリシーとして、一度買ったり注文したりした食べ物は残さないことにしているので、どうにか食べ切るつもりではいた。そこで、席に着くなりすぐさま食べ始めたのだが、一向に減る気配がない。実際、この量の3分の1でも個人的には多く感じるくらいだ。もっと少なくて良いから安くして・・・。

そんな切実な内心の訴えも、ハウルの動く城』のかなり長い特報が流れるとすべて消し飛ぶ。まだ声は入っていなかったけど、結構数多くのシーンを見せてくれていた。いやあ、ますます楽しみ。

そして、約2時間ちょっとの本編上映が終了。気が付くと、ポップコーンは見事に無くなっていた

で、感想は――我ながらよう食ったわ・・・じゃなくて、「確かに映像的には凄かったけど、ストーリー的には何と小じんまりした印象であることか」

ミステリィ作家の黒田研二氏がご自身のWebサイト「くろけんのミステリ博物館」中の日記(7月18日付)で書いている一言が正鵠を射ていると思うので、引用させていただこう。

この映画のストーリーをひとことで紹介するなら、「親子喧嘩でロンドン崩壊」か。

そうなのだ。スチームボールを巡る(第三者が入り乱れての)争奪戦が展開しはするものの、結局のところはスチーム城を巡る攻防がメインとなるわけで、そしてそのメインのポイントを紹介するなら正に黒田氏の言う通りなのだ。

何だか続編を予感させるようなラストも気になった。実際、続編の話しが出ているようだけど・・・。

http://www.toho.co.jp/movienews/0407/07steamboy_sb.html

で、そういう目で思い返してみるなら、本作は確かに「第1章 スチームボーイ誕生」といった印象が強い。この「あまりにも脚本が練れていない感」(あるいは、「もったいなさ過ぎて思い切った編集が出来なかったんだろう感」?)は、だからもしかすると、その辺りの事情にも起因するのかもしれない。とは言うもののやはり、どんなに続編が予定されていようが、それ抜きでも1本の作品として楽しめるのでなくては「反則」だろう。

この作品からは、恐らく多くの人が天空の城ラピュタを連想するだろうとは思うが、その際、ストーリーの広がりや展開のさせ方の妙といった点において本作はあまりにも稚拙なものに思えてしまうに違いない。折角の魅力的なメカたちだって、あんなにちまちました出番しか与えられないのではあまりにももったいなさ過ぎる。肝心の「メイン」の部分も、確かに見所であり見せ所でもあるのだろうが、やはり間延びしてしまった感は否めない。

ネット上の感想をちらちら見た限りでは、やはり手放しで大絶賛している人はあまり居ないようだ。どんなに映像が綺麗であっても、(ストーリー)映画であるからにはストーリーありきでなくては意味がない。そうなると、この約9年という年月は、待ちに待っていた観客側にとっても、そして同時に製作側にとっても、あまりにも残酷なものとなってしまったような気がする。こうなったら、せめて続編で挽回して欲しいと願わずにはいられない。今度は「2年以内」を目指すらしいけど・・・。

ところで、「スカーレットの存在理由が不明」とかいう感想を見かけたけど、とんでもない。「狂言廻し」として充分その役割を果たしていたし、その点で、このキャラが居なかったら本作はかなり味気ないものになっていたんじゃなかろうか。個人的には、本作で唯一のお気に入りキャラ。

キャストに関して言えば、レイ役の鈴木杏もスカーレット役の小西真奈美も、そんなに悪いとは思わなかった。ネット上の感想では、彼女たちの声に対する不満が結構見受けられたし、前にも書いたように、僕自身も基本的には、アニメ映画に非声優を使う昨今の傾向に対しては良い印象を持っていないんだけど、本作の場合、特に小西真奈美がナイスプレイだったように思う。どちらかと言うと声優的な仕事をしていたんじゃないかな。恐らく、知らないでこのスカーレットの声を聞いたら、誰があてているのか絶対に分からなかっただろう。レイの声に関しては、知らないで聞いても鈴木杏だということは比較的直ぐに分かったと思う。それでも、あの過剰な少年ぽさ(?)は、どちらかと言えばハマっていた部類に入るんじゃなかろうか。

映画もポップコーンも(?)消化不良のまま外へ。